自動倉庫とは?主な種類や導入における効果について | 工場建設パーフェクトガイド
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自動倉庫とは?主な種類や導入における効果について
公開日:2024.02.21 更新日:2024.02.21
自動倉庫は、保管や仕分け、商品の集荷(ピッキング)などの作業を自動化した倉庫です。従来の倉庫では人が行っていた様々な作業を、機械が行うため、倉庫内の作業を自動化し効率化します。主な種類は、パレット自動倉庫、ケース自動倉庫、移動棚式自動倉庫の3つです。導入する前に、それぞれの特徴を理解し、用途に合わせて選ぶことが重要です。
目次
自動倉庫の主な種類3選
自動倉庫は、倉庫内作業を自動化したシステムで、人手不足に対応するために注目されています。主な種類は、パレット自動倉庫、ケース自動倉庫、移動棚式自動倉庫の3つです。導入する前に、それぞれの特徴を理解し、用途に合わせて選ぶことが重要です。
◇そもそも自動倉庫とは?
自動倉庫は、保管や仕分け、商品の集荷(ピッキング)などの作業を自動化した倉庫です。このシステムは、AS/RS(Automated Storage and Retrieval System)とも呼ばれます。従来の倉庫では人が行っていた様々な作業を、機械が行うため、倉庫内の作業を自動化し効率化します。
BtoC-EC市場では、自動倉庫の需要が増加しており、特にコロナ禍での巣ごもり需要が背景にあります。自動倉庫システムは、商品の入庫から出庫までの流れを一元管理し、コンピュータによって作業を自動化します。これにより、倉庫管理がしやすくなり、作業効率が改善され、人件費も削減できます。
◇パレット自動倉庫
倉庫内の荷物を、パレット単位で移動させ保管するユニット型の自動倉庫です。高層ラックに荷物を保管するため、限られたスペースを効率的に活用できるメリットがあります。スカーレットシステムにより入出庫管理がしやすいのが特徴で、スタッカークレーン式ともいわれます。幅広い業種で導入され、自動倉庫のなかで最もスタンダードなタイプです。
◇ケース自動倉庫
多品種小ロットで、荷物のサイズが不定形でも対応でき、段ボール、樹脂コンテナ、トレイなどの単位での保管が可能です。入出庫、保管業務などをすべてシステム制御できるため、業務の効率化と業務品質の向上にも効果を発揮します。バケット型自動倉庫ともいわれています。
◇移動棚式自動倉庫
移動棚型の自動倉庫は、通常の保管倉庫とは異なります。通常の倉庫では、棚と棚の間に通路スペースを確保する必要があり、その結果、デットスペースが生まれます。しかし、移動棚型の自動倉庫では、保管する棚を移動させることができるため、通路スペースを確保する必要がありません。
つまり、通常の倉庫よりも保管スペースを最大限に活用できます。操作も簡単で、ワンタッチで棚を移動させることができます。このように、移動棚型の自動倉庫は、保管スペースの有効活用と操作の容易さが特徴です。
荷物を保管する棚ごと移動できるタイプの自動倉庫です。ピッキングのための通路が不要なため、通路も保管スペースとして有効活用ができます。操作が簡単で、倉庫の運用もしやすいのが特徴です。
自動倉庫の搬送装置やラックにも種類がある
画像出典先:ムラテック 村田機械株式会社
自動倉庫は、フォークリフト、荷物を保管するための棚、コンベヤ、荷物を搬送する装置、ラックなどで構成されます。搬送装置には、スタッカークレーン式、シャトル台車式、リトリーバ式の3種類、ラックにはユニット式自動倉庫とビル式自動倉庫の2種類があります。
◇搬送装置による種類
スタッカークレーン式、シャトル台車式、リトリーバ式のそれぞれの違いは、以下のとおりです。
スタッカークレーン式
床に固定したレールと棚の上部に取り付けられたレール上を、5mから40mのスタッカークレーンが走行し、荷物を積載するキャリッジ部を昇降させ目的の棚へ向かいます。棚に到着したら、キャリッジ上のフォークを棚に差し入れ荷物をすくい降ろします。サービス業、製造業、流通業など幅広い業界に導入されているタイプです。
シャトル台車式
入庫コンベヤから荷物を保管するラックの段までの移動は垂直搬送リフターが行い、搬送と保管は段ごとに設置された電動式シャトル台車が引き継ぎます。主に、ケース系では出荷前の荷揃え、パレット系では大ロット品の高密度保管に使われています。近年、導入事例が増えている種類です。
リトリーバ式
2列に並んだラック間をリトリーバが昇降し、リトリーバ上のキャリッジが移動してコンテナの入出庫は行います。省スペース化が図れ、操作が簡単なのが特徴で、主に小物ピッキング作業に採用されているタイプです。
◇倉庫内ラックの種類
ユニット式自動倉庫、ビル式自動倉庫のそれぞれの違いは、次のとおりです。
ユニット式自動倉庫
ラックを壁や屋根から分離させ設置するタイプです。自由度が高いため、既存の倉庫、新築の倉庫、マルチテナント型物流センターなど、幅広い倉庫に対応できます。
ビル式自動倉庫
高層ラックを壁や屋根に取り付け一体化しいて、主に危険物用の倉庫や大規模倉庫に採用されています。導入する際の建材が少なくて済むため、コスト削減にも効果的です。
自動倉庫の工場建設で得られる効果
工場建設で自動倉庫を導入することで得られる主な効果は、生産性および業務品質の向上、人件費の削減、省スペース化です。ただし、自動倉庫は導入費用と運用コストがかかるため、初期費用の回収期間も考慮して、導入するか検討することをおすすめします。
◇生産性および業務品質の向上
従業員が作業をすると、ピッキングで商品を取り違えたり、梱包する際に製品が破損したりして、返品対応や再送などの作業が発生します。また、従業員の作業スピードは、体調や労働時間によって左右されます。自動倉庫を導入すれば、作業スピードを一定に保て、冷蔵倉庫や冷凍倉庫でも24時間稼働させることも可能です。生産性および業務品質の向上を図れるため、コスト削減にもつながります。
◇人件費の削減と省スペース化
作業を自動化すれば、各作業工程において作業員を減らし人件費を削減することが可能です。作業員が夜間に作業をすると、時間外労働で残業代が発生しますが、自動倉庫であれば残業代も発生しません。
作業員の高所作業は危険を伴いますが、機械やシステムを活用すれば高い棚にも商品や製品を保管できるようになるため、作業員の安全を確保し省スペース化も実現できます。
◇導入と運用維持にかかるコストに注意
工場建設で自動倉庫するためには、機器の導入やシステム開発にコストがかかります。自動倉庫導入の費用相場は、倉庫の規模、設置する環境、システム構成などによって異なりますが、小規模な自動倉庫でも通常1,000万から2,000万円必要です。
さらに、導入する際の社内教育や運営維持にもコストがかかるため、注意が必要です。導入費用と運用維持費が高額になると、コスト削減は実現できないため、初期費用の回収期間を考慮して導入するか判断することが重要です。費用を安く抑えるためには、補助金を活用する方法もあります。
自動倉庫は、倉庫内の作業を自動化し、人手不足に対応するシステムとして注目されています。その主な種類は、パレット自動倉庫、ケース自動倉庫、移動棚式自動倉庫の3つです。パレット自動倉庫は、パレット単位での荷物の移動や保管が可能であり、特に大規模な物流センターや製造工場で広く利用されています。
一方、ケース自動倉庫は、小ロットで多品種の荷物に対応し、段ボールや樹脂コンテナなどの不定形の荷物も保管できます。また、移動棚式自動倉庫は、通常の倉庫とは異なり、棚を移動させることで保管スペースを最大限に活用できます。
自動倉庫の導入には高い初期費用と運用コストがかかりますが、その効果も大きいです。生産性や業務品質の向上、人件費の削減、省スペース化などが期待されます。しかし、導入にあたっては、導入費用と運用維持費のバランスを考慮し、慎重な計画が必要です。