マルチテナント型物流施設とは?従来の倉庫との違い | 工場建設パーフェクトガイド
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マルチテナント型物流施設とは?従来の倉庫との違い
公開日:2024.08.15 更新日:2024.08.15
近年注目されているマルチテナント型物流施設は、効率的なスペース利用とコスト削減を可能にし、交通アクセスの良さや最新設備の導入により、多くの企業から高く評価されています。マルチテナント型物流施設は、一棟の倉庫を複数のテナントで共有する形式の賃貸型施設で、特に都市部や物流の中心地で人気があります。
この形式は、共用スペースや最新のIT設備、防災設備が整っており、従業員にとって快適な環境を提供します。また、効率的なスペース利用が可能で、コスト削減にも寄与します。
従来の倉庫と異なり、マルチテナント型は交通アクセスが良く、防災設備が整っているため、初期投資を抑えつつ効率的な物流が可能です。
目次
倉庫を用意する方法
倉庫を用意する方法には大きく分けて「貸倉庫を契約する」方法と「自社倉庫を建設する」方法の二つがあります。それぞれにメリットとデメリットが存在し、事業の状況や目的に応じて適切な選択が求められます。
◇貸倉庫を契約
貸倉庫を契約する場合、初期費用を大幅に抑えられる点が最大のメリットです。具体的には、家賃、礼金、保証金、仲介手数料などがかかりますが、建設費用と比べるとかなり低く抑えられます。また、契約後すぐに利用を開始できる点も魅力的です。
一方で、デメリットとして、オーナーの意向により使用方法に制約がある場合があります。また、退去時には原状回復義務があるため、予想外の費用が発生することがあります。加えて、長期間にわたる賃貸では支払う家賃総額が大きくなるため、資産としての価値が残らない点も考慮が必要です。
◇自社倉庫を建設
自社倉庫を建設することには、長期的に見たコスト削減や資産形成といったメリットがあります。自社の所有物であるため、倉庫のレイアウトやデザインを自由に設定することで、業務効率を最大化し、独自の物流システムを構築することが可能です。
また、不動産を担保にして資金調達を行うことや、倉庫を賃貸に出すことで家賃収入を得ることもでき、会社の財務状況を強化する一助となります。
しかし、自社での倉庫建設には多額の初期投資が必要です。維持管理費用も自社で負担しなければなりません。また、倉庫の場所や広さが将来の事業展開に合わなくなった場合、簡単に変更することが難しいというデメリットもあります。
従来の倉庫の問題点
従来の倉庫にはさまざまな問題点があり、事業運営において多くの制約を生じさせることがあります。
◇貸倉庫は場所を選べない
貸倉庫の利用において大きな問題となるのは、立地条件です。広さや設備が申し分ない倉庫を見つけても、立地が不便であれば使い勝手が悪くなります。特に、交通アクセスが悪い場所では、商品の配送や受け取りに時間がかかり、業務効率が低下することがあります。
例えば、郊外の倉庫はコスト面では有利かもしれませんが、人手不足や交通の便が悪いことが多く、従業員の確保や物流のスムーズな運営に支障をきたす可能性があります。
さらに、貸倉庫では設備の導入やレイアウト変更などのカスタマイズが難しく、自社の業務に最適な環境を整えられない場合があります。こうした制約は、事業の成長や変化に対応する柔軟性を損なう要因となります。
◇自社倉庫はコストが大きい
一方、自社倉庫を建設する場合、初期投資が非常に大きくなる点が問題です。土地の購入費用や建設費用に加え、設備導入費用もかかります。これらの初期費用は、企業の資金繰りに大きな負担をかけることになります。
また、自社倉庫の運営には維持管理費用もかかります。定期的な修繕やメンテナンス費用、固定資産税などが継続的に発生し、これらの費用は事業の収益性に影響を与えます。例えば、倉庫の老朽化に伴う大規模な修繕が必要になることがあり、これもまた予期せぬコスト増につながります。
さらに、事業の拡大や縮小に応じて倉庫のサイズや機能を変更することが難しいため、柔軟な対応が求められる現代のビジネス環境においては不利となることがあります。
マルチテナント型の注目度がアップ
近年、マルチテナント型物流施設の注目度が急速に高まっています。これは従来の倉庫にはない多くのメリットがあるためです。
◇マルチテナント型とは?
マルチテナント型物流施設とは、一棟の倉庫を複数のテナントで共有する形式の賃貸型物流施設です。この形式は、特に都市部や物流の中心地で人気が高まっています。
施設内には共用スペースや専用フロアがあり、各テナントが自社の業務に最適な環境を構築できます。例えば、最新のIT設備や防災設備、快適な作業環境が整っており、従業員にとっても働きやすい環境が提供されています。
また、マルチテナント型物流施設は、効率的なスペース利用が可能であるため、企業にとってコスト削減につながります。施設内の飲食店や売店の利用もできるため、従業員の利便性が高まり、仕事の効率も向上します。
このように、マルチテナント型物流施設は、現代のビジネスニーズに非常に適した施設と言えるでしょう。
◇従来の倉庫との違い
従来の倉庫とマルチテナント型物流施設の最大の違いは、立地とコスト面にあります。
従来の倉庫は、企業が独自に建設し、運営するものであり、広大な土地を必要とするため、都市部では土地の確保が難しく、郊外に設置されることが多いです。結果として、交通アクセスが悪く、物流の効率が低下することがありました。
一方、マルチテナント型物流施設は、交通の便が良い立地に設置されることが多く、効率的な物流が可能です。例えば、主要な高速道路や鉄道駅の近くに位置し、迅速な配送が可能です。また、複数の企業が施設を共有するため、土地の利用効率が高まり、コスト削減が実現します。
さらに、従来の倉庫では防災設備やIT設備の導入に高額な投資が必要でしたが、マルチテナント型物流施設ではこれらの設備が既に整っているため、初期投資を抑えられます。これにより、中小企業でも最新の設備を利用できる環境が整っています。
従業員のための休憩スペースや食事処が施設内にあるため、快適な労働環境が提供され、作業効率の向上にも寄与します。
マルチテナント型物流施設の事例
マルチテナント型物流施設は、利便性とコスト面で多くのメリットを提供しています。大和ハウス工業でも「DPL(ディープロジェクト・ロジスティクス)」という名称のマルチテナント型物流施設を開発し、2023年には国内外にて300棟ものDPLを建設しました。ここではそのうち2棟をご紹介します。
◇DPL流山Ⅳ
千葉県流山市に2021年に竣工したDPLで、地上5階建て、延床面積322,226.33㎡を誇る大規模施設です。施設内には保育園やカフェテリアが施設内に設置されており、従業員の働きやすさを重視しています。これにより、子育て中の従業員も安心して働ける環境が整っています。
また、DPL流山Ⅳは災害に強い設計が施されています。例えば、免震構造や非常用大型蓄電池が標準装備されており、災害時にも業務を継続しやすい環境が整っています。これにより、BCP(事業継続計画)の観点からも安心して利用できる施設となっています。
このような充実した設備と立地条件の良さが相まって、多くの企業から高い評価を得ています。
◇DPL大阪舞洲・DPL大阪南港Ⅰ
大阪湾岸部に建設されたDPL大阪舞洲とDPL大阪南港Ⅰは、冷凍冷蔵物流に対応可能であり、特に食品業界からの需要に応えています。
DPL大阪舞洲は地上8階建てで、常温、冷蔵、冷凍の3温度帯に対応しています。これにより、さまざまな温度管理が必要な商品を一括して取り扱うことが可能です。
また、DPL大阪南港Ⅰは地上5階建てで、1階が5℃~8℃、2~5階が-25℃から0℃までの温度管理ができる冷凍冷蔵倉庫となっています。このように、異なる温度帯での保管が可能なため、幅広い商品を効率的に管理できます。
さらに、これらの施設は交通アクセスにも優れています。例えば、DPL大阪舞洲は阪神高速湾岸線のインターチェンジに近接しており、広域輸送がしやすい立地です。一方、DPL大阪南港ⅠはOsaka Metro南港ポートタウン線「南港口駅」に近く、従業員の通勤にも便利です。
このような立地条件は、物流業務の効率化に大きく寄与します。
倉庫を用意する方法には「貸倉庫を契約する」方法と「自社倉庫を建設する」方法があり、それぞれメリットとデメリットが存在します。貸倉庫は初期費用が低く、すぐに利用開始可能ですが、使用制限や原状回復義務がある点がデメリットです。一方、自社倉庫は資産形成やコスト削減が期待できますが、初期投資が大きく、維持管理費用も必要です。
そこで近年注目されているのがマルチテナント型物流施設です。一棟の倉庫を複数のテナントで共有する賃貸型の施設で、都市部や物流の中心地で特に人気があります。共用スペースや専用フロアを備え、最新のIT設備や防災設備が整っており、従業員にとって快適な作業環境が提供されます。
この形式は、効率的なスペース利用が可能で、企業のコスト削減に寄与します。さらに、施設内の飲食店や売店の利用も可能で、従業員の利便性が高まり、業務効率が向上します。従来の倉庫と異なり、交通の便が良い立地に設置され、防災設備も既に整っているため、中小企業でも最新設備を利用でき、初期投資を抑えられる点も大きな利点です。
DPL流山Ⅳは千葉県流山市に2021年に竣工した地上5階建ての大規模物流施設で、延床面積は322,226.33㎡です。保育園やカフェテリアが設置され、子育て中の従業員も安心して働ける環境を提供しています。また、免震構造や非常用大型蓄電池が標準装備され、災害時でも業務を継続しやすい設計が施されています。
DPL大阪舞洲とDPL大阪南港Ⅰは、大阪湾岸部に建設された冷凍冷蔵物流に対応可能な施設で、さまざまな温度帯の商品を効率的に管理できることが特徴です。これらの施設は交通アクセスにも優れ、物流業務の効率化に寄与しています。