自社で持つ営業倉庫の長期的なコスト削減と資金調達の利点とは? | 工場建設パーフェクトガイド
メーカー紹介記事
自社で持つ営業倉庫の長期的なコスト削減と資金調達の利点とは?
公開日:2024.07.23 更新日:2024.07.23
自家用倉庫は個人や会社が自己の貨物を管理する場所です。自社で倉庫を持つことで、運営の自由度が増します。建設時にイニシャルコストは発生しますが、賃料やランニングコストが不要なため、長期的な視点ではコスト削減が可能です。
一方の営業倉庫という形態もあります。こちらは国土交通大臣の登録を受け、顧客の貨物を保管・管理する施設です。主に港湾や空港の周辺に位置し、種類には普通倉庫や冷蔵倉庫が含まれます。
外部委託や倉庫の賃貸にはデメリットが存在し、情報漏洩のリスクや運営の自由度が限られる点に注意が必要です。
目次
営業倉庫とは?国の認可を受けた安全な保管施設
倉庫に対しては倉庫業法という法律が存在しており、保管できるものなどの制限があるため注意しなければなりません。大きく分けて2つの種類があり自家用倉庫と営業倉庫に分けられます。
◇国交大臣の登録を受けた営業倉庫
営業倉庫とは国土交通大臣の登録が必要な倉庫のことで顧客の貨物を保管・管理します。一方の自家用倉庫は、倉庫の保有者が貨物を保管や管理する倉庫です。営業倉庫にはさらに、普通倉庫・水面倉庫・冷蔵倉庫の3種類に分かれます。
営業倉庫は港湾・空港・インターチェンジの周辺に立地する傾向にあり、業種によっては、農作物の生産地や製造業の工場の周辺に立地しているケースも見られます。
◇製造・加工後の物品保管は倉庫業に該当しない
倉庫業とは、会社・個人から預かった貨物を倉庫に保管する事業を指し、貨物を保管して対価を得る場合に該当します。記のような事例も倉庫業に該当しないため、事前に確認しておくと安心です。
・ロッカーなど外出時の携帯品の預かり
・貸金庫などの保護預かり
・港湾運送事業の一時保管用に使われる建物(上屋)
・洗濯や修理などの事業で物品の保管を行う場合
倉庫業務を外部委託する際のリスク
倉庫業務の委託や倉庫を借り場合、それぞれには一定のデメリットが生じます。
◇外部委託のデメリット
委託倉庫のデメリットは、物流ノウハウが社内に浸透しないこと、情報漏洩のリスクが高くなります。のちに自社で倉庫業務をする際、物流ノウハウが浸透していないと何をしたらよいのか分からず、システムを一から構築しなければなりません。
また、社外に委託するため情報漏洩の可能性もあります。外部の業者は情報管理を徹底するところがほとんどですが、漏洩リスクがゼロではないため注意が必要です。
◇倉庫を借りるデメリット
倉庫を借りるデメリットとして大きいのが、自由に使用できない点です。倉庫は自社の所有物ではないため、稼働する時間帯や曜日が決まっている場合があります。
また、自由にレイアウトの変更や機器の設置などもできません。そのため、用途が制限され特定の作業が困難になる可能性があります。
さらに、倉庫を借りた場合は、借りた当初と同じ状態に戻さなければなりません。レイアウトの変更や機器を設置ができる倉庫だったとしても、契約を更新しない場合は原状回復費用が必要です。
原状回復には費用がかかるケースもあり、自社倉庫よりかえって高額になることも少なくありません。契約更新の際は賃料の引き上げされるケースや更新できないといったリスクもあります。
長期的なコスト削減を実現する自社倉庫
建設に時間とコストがかかる自社倉庫ですが、結果的に営業倉庫よりも多くのメリットを得られる場合があります。
◇トータルコストの削減
倉庫を借りた場合や委託倉庫の場合、毎月倉庫の保管料・システム利用料・業務管理などによる費用が発生します。そのため、自社倉庫を建設するよりもコストがかさみ高額になるケースも少なくありません。
自社倉庫を建設する場合、初期費用はかかりますが、保管料・システム利用料・業務管理といったランニングコストを軽減できます。結果、トータルコストを削減できるため、少しでもコストを抑えたい方は自社倉庫の建設も視野に入れるとよいでしょう。
◇資産として運用が可能
営業倉庫は自社の所有する不動産ではありません。一方、自社倉庫は自社の資産となります。
自社の資産として扱えるため、万が一のときには自社倉庫を担保にして金融機関から融資を受けることも可能です。また、自社の資産として減価償却できるため、建設にかかったコストは一定年数に渡って経費として計上できます。
自社倉庫で実現する自由な運営と用途の多様性
自社倉庫は営業倉庫と異なり、建設に時間がかかります。かし、自社倉庫だからこそ実現できることあります。
◇自社倉庫で実現する自由な運営
貸倉庫などでは用途が制限されますが、自社の所有であればレイアウトの変更や稼働時間も自由にできます。必要な設備の設置も気軽にできるのもメリットです。また、月々の料金も発生しないため、契約更新の手間もなく賃料などの引き上げの心配もありません。
◇遊休スペースをシェアリングで活用も
自社倉庫であれば、使用していない遊休スペースを有効活用できます。自社倉庫は第三者の貨物を保管することはできないため、閑散期は遊休化しやすいのが課題でした。
そのような遊休スペースを貸し出す倉庫の遊休スペースシェアリングサービスが登場しています。例えば、不動産賃貸などの形態で倉庫の空きスペースを貸すなどです。このような場合は営業倉庫に該当せず、倉庫業法に違反せずに遊休スペースを活用できます。
営業倉庫は主に交通の要所である港湾、空港、またはインターチェンジの近くに位置しており、普通倉庫、冷蔵倉庫、水面倉庫などの形態があります。このような倉庫は、特に農作物や製品を生産する地域にも設置されていることが多く、物流の効率化に貢献しています。
これに対して自社倉庫は、初期投資は必要ですが、長期的には保管料やシステム利用料などのランニングコストを削減でき、トータルコストを大幅に下げることが可能です。
自社倉庫を持つことで、資産としても活用でき、財務上のメリットを享受できます。また、自由な運営が可能となり、遊休スペースのシェアリングなど新たな収益源を開拓することもできるため、柔軟な倉庫運営が実現します。
営業倉庫の外部委託や賃貸にはリスクが伴います。外部委託すると、企業の物流ノウハウが内部に蓄積されず、情報漏洩の可能性が増します。また、倉庫を借りる場合、自由度が限られ、契約更新時の原状回復費用や賃料の増加など追加コストが発生するリスクもあります。