小規模や自営業にも最適な木造倉庫の利点とは? | 工場建設パーフェクトガイド
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小規模や自営業にも最適な木造倉庫の利点とは?
公開日:2024.07.23 更新日:2024.07.23
木造倉庫の建設は保温性が高いため生鮮食品の保管に適しており、小規模事業者にもメリットがあります。期の短縮とコスト削減が可能で、更には熱中症リスクの軽減にもつながります。
従来は鉄骨造やRC造が一般的でしたが、木材の炭素貯蔵特性を活かした木造化が注目されています。特に、木造倉庫は環境への負荷が低く、SDGsの目標に貢献できる点が評価されています。脱炭素社会への取り組みの一環として世界各国で進んでおり、日本も例外ではなく、建築物の木造化が進められています。
ただし、木造倉庫は耐用年数が短く、防火性・耐火性にも厳しい基準が設けられており、適切な設計とメンテナンスが必要です。
目次
木造倉庫建設の現状とは?脱炭素も促進
近年、世界各国でさまざまな建築物の木造化が進んでおり、日本も例外ではありません。地球温暖化が深刻化していることから、木材を活用した取り組みも木造化を促進している要素のひとつです。
これまで鉄骨造やRC造を採用していた中高層ビル・倉庫などの木造化が進められています。
◇増加する木造倉庫
工場や倉庫といえば、鉄骨造のイメージが強い方が多いかもしれません。実際これまでの倉庫建設では、鉄骨造を採用するケースが多く、現在でも全体の統計の約7割を占めているほどです。
しかし、近年は倉庫の木造化に注目が集まっており、徐々にではあるものの木造倉庫の需要が高まってきています。
◇脱炭素に貢献する木造建築
現在、世界各国で脱炭素へ向けた取り組みがされており、そのひとつが建築物の木造化です。木材は炭素の排出量が少ない上、炭素を貯蔵する特性を持っており、この特性を活かすため建築業界では木造化が進められています。
日本政府も2020年10月には、2050年までに炭素の排出量をゼロにする、カーボンニュートラルを目指すと宣言しました。現在、国内の建築業界でもカーボンニュートラルを目指した取り組みを行う企業も多いです。
国内のハウスメーカーなどでは、これまで鉄骨造・RC造を採用していた中高層ビルなどの木造化に挑戦している企業も徐々に増えてきています。
木造建築の耐用年数と防火性の基準
木造倉庫を建設する前に、気になるのが耐用年数や防火性・耐火性など建物の性能面です。木造と鉄骨の建築物では、これらの点が異なるため注意が必要です。
◇耐用年数は鉄骨より短い
国税庁における木造倉庫の耐用年数は15年と定められており、鉄骨造やコンクリート造の38年と比較するとかなり短めです。
実際に耐用年数が過ぎたからといって、倉庫を利用できなくなるわけではありません。メンテナンスや耐震性の見直しなどを行えば、長く利用できます。しかしながら、減価償却が可能となる期間は鉄骨よりも短くなるため、会計処理で不利になるとも言えるのです。
◇厳しい防火基準
防火性・耐火性には厳しい基準が設けられています。特に木造はより厳しい基準をクリアしなければなりません。防火性とは火災の延焼および火災による倒壊を防ぐ性能、耐火性とは主要な構造部の「燃えにくさ」です。
どちらか一方だけが優れていればよいというわけではなく、木造倉庫においては防火性・耐火性を高めた耐火建築物(または準耐火建築物)でなければなりません。
壁や天井に「不燃材料」「準不燃材料」のいずれかを使い、一定時間以内の延焼に耐えうる性能を有し、防火区画の設置なども求められます。
木造が向いているケース
倉庫を建てる際、鉄鋼造と木造の双方にはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、倉庫の用途や取り扱うものによって選ぶのが大切です。木造倉庫は農業・林業・畜産業などで使用するトラクター・運搬機械などの保管でも使用されています。
◇生鮮食品の保管にも便利
生鮮食品は温度調節が重要ですが、木造倉庫は保温性に優れているため、木造倉庫は生鮮食品の保管に最適です。また、鉄骨では潮風により錆などの塩害のリスクがありますが、木材は潮風に強く、錆などの心配もありません。
◇小規模や自営の場合
木造倉庫は、自営・小規模の場合も最適です。在庫を持たないような自営業や小さな商品を取り扱っている小売業といった必要最低限のものだけを扱っている場合は、木造倉庫に適しています。
小規模であれば、保管するものの量も少なく、スペースが取れるため柱などを立てて耐震性を強化するのも可能です。
工場の断熱・遮熱による効果
木造倉庫にはいくつかメリットがありますが、コスト・税金を抑えられ、断熱性にも優れているという点は特にメリットといえます。また、木造倉庫は建てる際のコストやランニングコストが抑えられるだけでなく、解体する場合のコスト削減も可能です。
◇工期とコストを削減
木造倉庫は、鉄骨造倉庫よりも工期が短期間で済むのが特徴です。木造の工期が短い理由は、鉄骨よりも入手しやすく基礎工事も少ないためです。
また、建築コストを削減できるのも木造倉庫のメリットといえます。木材は鋼材よりもコストが安価なうえに、建物自体が軽量なため地盤改良にかかるコストも抑えられます。
◇温度管理で熱中症リスクが軽減
木造倉庫は鉄骨造やコンクリート造と比べて断熱性が優れており、外気・気候の影響が受けにくいのもメリットといえます。
特に鉄骨造の工場や倉庫は、外気の影響を受けやすいため工場・倉庫内の温度が上がりやすく、熱中症や脱水症状による体調不良や事故といったリスクが上がりかねません。
木造にすることで作業しやすい環境を整えられる上に、光熱費などランニングコストも抑えられます。
木造倉庫の建設は、地球温暖化対策としての脱炭素社会への移行を目指し、日本を含む世界中で推進されています。伝統的な鉄骨造やコンクリート造(RC造)に比べ、木材を用いた建築は、炭素を固定し環境負荷を低減する点で大きな利点を持ちます。これにより、サステナビリティの観点からも、特に木造倉庫の建設が評価され、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に寄与しています。
木造建築は、その保温性の高さが生鮮食品の保管に適しているため、農業や食品関連業界での利用が増えています。また、木造は建材の入手や施工の容易さから、小規模事業者にもコスト効率の良い選択肢を提供します。工期の短縮は直接的なコスト削減につながり、環境に優しいだけでなく、労働環境の改善—特に熱中症リスクの低減—にも貢献します。
しかしながら、木造建築の挑戦もあります。特に耐用年数が比較的短く、防火性や耐火性に関する厳格な基準を満たす必要があるため、設計や定期的なメンテナンスには特に注意が必要です。適切な設計と継続的な管理により、木造倉庫は長期的に持続可能で効果的な建築ソリューションとなり得ます。