HACCP認定をクリアした食品加工工場で海外進出を促進! | 工場建設パーフェクトガイド
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HACCP認定をクリアした食品加工工場で海外進出を促進!
公開日:2024.06.26 更新日:2024.06.26
近年、日本の農林水産物と食品の海外輸出が急増しており、特にかつお、まぐろ、ぶり、ホタテなどの水産物が人気です。この成長は、日本食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことや、海外で健康志向の消費者が日本食の健康面に注目していることに支えられています。
一方、海外の食品工場では、HACCP(食品安全管理システム)など厳格な衛生基準が義務化されており、日本はこの点で他国に比べて遅れています。
ある水産加工業者はタカヤに施工を依頼し、HACCP対応の設備投資を進め、衛生基準の向上と業務効率化、新規雇用の増加などを実現しました。
目次
世界の食品工場ではHACCPが浸透
海外で日本の食材・食品ニーズが増加し、日本の農林水産物と食品の海外輸出が増加しています。海外の食品工場では、HACCPによる食品衛生管理が浸透していますが、HACCPの義務化において、日本は諸外国に比べて遅れを取っています。
◇海外で日本の食材・食品ニーズが増加
2023年における農林⽔産物・⾷品の輸出実績が増加しており、海外での農産物、水産物と水産調製品の需要が増えています。2023年で特に伸び率が高かった水産物、かつお・まぐろ類、ぶり、ホタテ⾙(調整品)でした。
理由は複数挙げられますが、和食ブームと日本食レストランの海外展開などもそのひとつです。日本食がユネスコ無形文化遺産に登録され、ヘルシーな日本食が海外の健康志向の人々の間で注目を集めていることも、海外で日本の食材・食品ニーズが増加している理由と考えられます。
◇海外ではHACCPによる衛生管理が基本
HACCPは、1960年代にアメリカで開発された食品の安全性を確保するための衛生管理手法で、英語の「Hazard Analysis Critical Control Point」の頭文字を取ったものです。
食品事業者は、危険要因(Hazard)を理解し、食品製造の重要な工程を管理して、危険要因を除去または低減しますが、HACCPマネジメントシステムを構築するためには、7つの原則と12手順を実行しなくてはなりません。
そのため、海外では1990年代から順次、HACCPによる食品衛生管理を義務化する動きが始まりました。主要な国では2000年前後から義務化され、食品工場ではHACCPによる衛生管理が基本です。
これに対し、日本の義務化は2020年のため、HACCPの義務化に関しては諸外国に比べて遅れています。
海外進出に向けてHACCP対応工場を希望
養殖水産物の加工を手がけているあるT社では、養殖水産物の加工工場を建てたいと検討していました。工場建設までの経緯と、工場設計の際に同社が出した要望を紹介します
◇海産物の加工を内製
T社はこれまで、地元で養殖されたカンパチ、マダイ、ブリなどの卸業を営んでいました。しかし、取引先から切り身や3枚おろしなどの加工済みの製品を希望されたのです。既存の工場では対応が不可能と判断し、海産物の加工を行える工場の建設に踏み切ります。
◇HACCPに対応
T社は水産加工品が製造できるようになったら、日本食ブームの波に乗り、海外への輸出も積極的に行いたいとも考えていました。
しかし、海外の多くの国々では既にHACCPが義務化されており、水産物および水産加工品をEU、米国、ブラジルに輸出する際は、日本政府や第三者認証機関などによるHACCP認証が必要です。
T社は、海外輸出が実現できるように、建築会社にHACCP対応を考慮した設計を依頼しました。
ファクトリアが取り入れた工夫とは
T社の要望に応え、ファクトリアはHACCPに対応できるよう、さまざまな工夫を設計に取り入れました。ここでは働きやすさを向上した工夫を紹介します。
◇加工エリアの作業動線と床を改善
作業員は更衣室で衛生服に着替え、サニタリーで長靴に履き替え手洗いを行います。エアシャワーで埃を取り除いてから製造エリアに入りますが、自動ドアで接触しないため再度手洗いをする必要がありません。
また、鱗取り、内臓除去、三枚おろしや洗浄脱水などを行う加工エリアは、埃がたまるのを防ぐために、⼊隅をRにする、ドアの上部を斜めにするといった工夫を取り入れました。交差汚染を防ぐ目的で、床の色を色分けしているのも特徴的です。
◇働きやすい環境
従業員が働きやすい環境を整えるための工夫もされています。休憩室は木目の床で温かみがあり、テーブル席に加えてゆったり休める小上がりもあります。北側の窓からは美しい景色を眺められ、リフレッシュには最適な空間です。
仕事の後の時間を充実できるよう、更衣室にはシャワー室も設けています。シャワー室はだれでも使えるため、従業員の満足度もアップしました。
安心と信頼を高める加工工場を実現
ファクトリアの設計により、HACCP対応の衛生管理を実現できただけでなく、取引先の安心と信頼を獲得しやすくなりました。明るく清潔な工場環境は、求職者にもよいイメージを与え、新規雇用の増加にもつながっています。
◇衛生と効率性を実現
作業動線と製品の動線を配慮した新しい加工工場は、HACCPに対応した衛生管理ができるようになっただけでなく、作業がスムーズになり従業員の働きやすさも向上しました。
エアシャワー室は⾃動ドアを備えており、余計な物に触れずに入出できます。これにより、不要な洗浄や殺菌の手間を減らせます。また、加⼯エリアは床の色でエリア分けをしており、交差汚染の予防に役立っています。
◇新規雇用が増加
水産加工工場は、生魚を扱うため作業現場の温度は低めです。温度の低い工場での立ったままの作業となるため、水産加工工場の仕事はきつく敬遠されやすい傾向にあります。少子高齢化により人手不足が問題になっていますが、水産加工業も例外ではありません。 しかし、明るく清潔感のある労働環境が整った新しい工場は、求職者にもよいイメージを与え、以前よりも新規雇用がしやすくなりました。特に、工場内に作った⾒学通路や休憩室などの非生産エリアが、採用活動において外部へのアピールに役立っています。
なお、見学通路を設置したおかげで、地元の子どもたちを招待したり社会学習の場を設けたりできるようになり、取引先の信頼獲得や地域貢献もしやすくなりました。
近年、日本の農林水産物と食品の海外輸出が著しく増加しています。特に、かつお、まぐろ、ぶり、ホタテなどの高品質な水産物が海外市場で人気を博しています。この成長は、日本食がユネスコの無形文化遺産に登録され、海外での健康志向が高まっていることによるものです。日本食はその健康面と美味しさから、海外の消費者に大きな注目を集めています。
一方で、海外の食品工場では、食品の安全性を確保するためにHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)などの厳格な衛生管理基準が広く導入されています。日本はこの点で、他国に比べてHACCPの義務化が遅れていますが、近年ではその重要性が認識され、対応策の推進が進んでいます。
ある企業でも、日本の水産加工業者は海外市場で競争力を持つために、HACCPに準拠した設備投資を進めました。新しい加工工場の建設や設備の改善により、衛生基準の向上と生産効率の向上を図っています。また、新たな工場設備は新規雇用にもつながりました。