クリーンルームを備えた工場建設の注意点とは? | 工場建設パーフェクトガイド
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クリーンルームを備えた工場建設の注意点とは?
公開日:2024.05.31 更新日:2024.06.04
クリーンルームは微粒子や微生物の汚染を最小限に抑え、清潔な空気を維持する部屋であり、半導体工場や食品加工工場、病院などで利用されています。清浄度を保つための設備や管理が求められ、増設や移設も可能です。
導入時の懸念点として、清浄度やスペース確保が挙げられます。最適な導入方法としては、ゾーニングや局所クリーン化を考慮することが重要です。導入により、製品品質向上や健康被害リスク低減が期待できます。
目次
クリーンルームとは?
クリーンルームは清潔な空気の維持が求められる、さまざまな現場で使用されています。例えば、半導体・精密機器製造工場、食品加工工場、物流センター、病院(特殊手術室、無菌室、新生児室など)などです。こちらでは、クリーンルームについて、詳しく紹介します。
◇クリーンルームとは
クリーンルームとは、防塵室とも呼ばれ、微粒子や微生物などの汚染を最小限に抑えた、一定以上の清潔な空気が維持された空間のことです。
クリーンルーム内の空気は清潔に保ち続ける必要があるため、分野や業種を問わず、不純物を持ち込まない、発生させない、堆積させない、排除することが求められます。
◇増設も可能
製造工程の変更や品質の向上などに応じて、後からクリーンルームが必要となる場合もあるでしょう。クリーンルームの増設と聞くと、難しいと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、クリーンルームの増設および移設は可能です。
また、さまざまな条件により、大きく異なってきますが、クリーンルームの増設は2か月ほどで完了するといわれています。
クリーンルーム導入の懸念
さまざまな現場で広く使用されているクリーンルームですが、それを導入される場合、いくつかの懸念点が挙げられます。工場建設などに伴い、クリーンルームの導入を検討しているのであれば、そちらを考慮しておくとよいでしょう。こちらでは、クリーンルームを導入する際に考慮すべき懸念点について、詳しく紹介します。
◇必要な清浄度を維持できるか
クリーンルームには一定以上の清潔な空気の維持が求められます。なお、クリーンルームの清浄度(クラス)はJISやISOといった規格で定められており、扱う製品や導入目的、業種や作業内容に合わせて、適切な清浄度の確保が必要です。
国際統一規格であるISO規格では、清浄度をISOクラス1~9に分類しており、数値が小さければ小さいほど、空気中に含まれる微粒子の数が少なく、空気が清浄であるとしています。なお、1m³当たりの空気中に含まれる微粒子の数は0.1μm以上が基準です。
◇一定のスペースを確保できるか
クリーンルームは清浄度を保つためにも、必要な設備の設置や適切な気流の確保が求められます。そのため、一定の天井高や広さが必要です。なお、一定の天井高や広さが確保されていない場合は清浄度の維持が難しくなるため、工場の躯体改修が求められる可能性が非常に高いです。
最適なクリーンルームを導入する方法
最適なクリーンルームの導入を検討しているのであれば、いくつかの点に考慮すべきです。こちらでは、最適なクリーンルームを導入する方法について、それぞれ詳しく紹介します。
◇ゾーニングや動線から考慮する
これから、新設する場合はゾーニング、人や物の経路、動線を考慮した上でクリーンルームの設計を行うとよいでしょう。これにより、最適なクリーンルームを導入できる可能性が高くなります。クリーンルームの導入するのであれば、知識や経験が豊富な専門性の高い業者へ依頼するとよいでしょう。
◇局所クリーン化を取り入れる
クリーンルーム化させる部屋の確保が難しい場合、局所クリーン化を検討するとよいかもしれません。局所クリーン化とは、クリーンブースなどを用いて、必要な場所のみの清浄度を高める技術のことです。局所的クリーン化を行う場合もクリーンルームを導入する場合と同様、ゾーニングやレイアウトを十分に考慮する必要があります。
クリーンルームは品質向上と健康促進に効果的
クリーンルームを導入することにより、さまざまな利点が得られます。例えば、製造している製品の品質の向上や健康被害のリスクの低下などです。こちらでは、クリーンルームを導入することにより、品質の向上と健康被害のリスクの低下が可能な理由について、詳しく紹介します。
◇品質の向上
半導体・精密機器製造工場では、不良品の発生を防ぐためにも、クリーンルームは決して欠かせない重要な設備の1つであるとされています。
その理由として、半導体・精密機器製造工場のように微細な製品を扱う現場では、目に見えない微粒子などがたった1つ付着しただけでも、不良品の発生につながってしまうおそれがあるためです。また、食品加工工場の場合、製造している製品の中に異物が混入してしまうと、企業イメージの低下およびそれに伴う経営悪化につながりかねません。
不良品や異物混入などの問題を避けるためにクリーンルームを導入しておけば、結果的に品質の向上にもつながるでしょう。
◇健康被害リスクの低下
クリーンルームは気流を発生させ、空気を循環させているため、ウイルスなどの浮遊物が発生しにくいといわれています。実際にクリーンルームは、病院や手術室でも導入されており、感染が死に直結するような白血病患者などの治療室としても使用されている技術です。
このような理由から、クリーンルームは健康被害のリスクを低下させる効果も期待できます。
クリーンルームは、微粒子や微生物の汚染を最小限に抑えた、清潔な空気が維持された空間であり、半導体工場や食品加工工場、病院などで使用されています。清浄度を維持するためには、不純物の持ち込みや発生を最小限に抑えることが重要です。また、製造工程の変更や品質向上に伴い、クリーンルームの増設や移設が必要な場合もありますが、これは可能です。
クリーンルーム導入には様々な懸念点があります。例えば、必要な清浄度を維持できるか、一定のスペースを確保できるかなどです。クリーンルームの清浄度はJISやISO規格で定められており、適切な清浄度を確保する必要があります。また、クリーンルームは清浄度を保つために適切な設備や気流が必要となるため、一定のスペースが必要となります。
最適なクリーンルームを導入するためには、ゾーニングや局所クリーン化を考慮することが重要です。ゾーニングや動線を考慮した上でクリーンルームの設計を行うことで、効果的なクリーンルームを導入することができます。また、局所クリーン化を検討する際も、適切な設備やレイアウトの考慮が必要です。
また、クリーンルームの導入により、製品品質の向上や健康被害リスクの低減が期待できます。微粒子や微生物の汚染を最小限に抑えた空間で製造することで、不良品の発生を防ぐことに繋がるでしょう。浮遊物が発生しにくいため、健康被害のリスクも抑えられるのです。