テント倉庫とは?倉庫・工場建設での活用シーンを解説 | 工場建設パーフェクトガイド
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テント倉庫とは?倉庫・工場建設での活用シーンを解説
公開日:2024.05.31 更新日:2024.06.04
工場建設を検討している方にとって、テント倉庫は良い選択肢の1つかもしれません。
テント倉庫は、軽量の鉄骨にシート膜をかぶせた簡易な構造の倉庫です。低コストで短期間に建築できる点や、容易に移設できる点がテント倉庫の利点でしょう。これにより、従来の在来建築やシステム建築、プレハブ建築では難しい柔軟な対応が可能となります。
運送業の荷物保管や工場の建築機械整備場、荷捌き場、さらにはスポーツの室内練習場など、さまざまな用途で活用されるテント倉庫は、多様なニーズに応える新しい選択肢として注目されているのです。
目次
物流・建設業界では中継地点の造設が求められている
物流業界は今、大きな転換期を迎えています。そのターニングポイントといえるのが、働き方改革によるトラックドライバーの時間外労働時間の規制、いわゆる2024年問題です。
◇2024年問題による労働環境の改善
2024年問題とは、働き方改革関連法により、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する問題の総称のことです。ネット通販市場の急成長に伴う宅配便の取り扱い個数の増加により常態化していた長時間労働からトラックドライバーを守るという名目で制定されました。この上限規制は、2024年4月1日より適用されています。
しかしこの規制により生じる問題の1つが、運送・物流業者の売上、利益の減少です。この問題は規制により1日に運べる荷物の量が減ってしまうために生じます。運賃を上げれば解決しそうな問題ですが、価格競争の激しい現在の運送業界で運賃を上げるのは容易ではありません。
◇中継輸送と保管効率向上でドライバーの負担を軽減
問題を解決する方法の1つが、中継輸送と保管効率の向上です。これによりトラックやドライバーの負担を軽減できるうえに、運べる荷物の量を維持することもできます。ただ、保管する荷物を増やすためには、広い保管スペースが必要となるため、その解決策として浮上するのが倉庫の造設です。
倉庫の造設で生じる課題
出典元:フォトAC
2024年問題を解決する方法として、中継輸送と保管効率向上があり、その手段の1つである倉庫の造設が有効です。ただ、倉庫を造設するにはクリアしなければならない課題も生じます。
◇コスト・工期
クリアしなければならない課題は、倉庫の造設に伴うコストと工期です。ここでは3種類の倉庫建築に関する費用目安や工期について紹介します。
・在来建築
在来建築とは、材料から間取りまで倉庫の規模や用途に応じてゼロから自由に設計できる建築方法のことです。倉庫の耐久性は高いですが完全オーダーメイドとなるため、工期は長くなる傾向にあり、工期の目安は6か月以上となっています。工期が長くなるとその分コストもかかるため、費用の目安は坪単価で40〜60万円です。
・システム建築
倉庫に適した設計システムを用意してセミオーダーで行う建築方法のことです。倉庫の耐久性は比較的高くなりますが、在来建築ほどの工期は要しません。工期の目安は、約3か月前後です。費用の目安は坪単価で30〜50万円となっています。
・プレハブ建築
プレハブ建築とは、工場で大量生産された規格部材を現地で組み立てる建築方法です。比較的小規模の倉庫に適しています。倉庫の耐久性は、上記2種類には劣るもののその分工期は短期間で済み、工期の目安は約2〜3か月前後です。コストも3種類の中では一番安く、費用の目安は坪単価で20〜40万円となっています。
テント倉庫の活用を検討
実は倉庫建築には在来建築、システム建築、プレハブ建築のほかに、もう1種類の方法が存在します。それが次に紹介するテント倉庫です。
◇テント倉庫とは
軽量の鉄骨を組んでその上からシート膜をかぶせて作る倉庫のことで、その名のとおりテントのような倉庫です。種類としては、閉鎖型・側面開放式・伸縮式・移動式などがあります。
基本的な構造はどれも同じですが、閉鎖型は、全部の面がシート膜で覆われており、側面開放式はその名のとおり一部の側面が開放されているのが特徴です。伸縮式はジャバラの骨組みで作られており、伸び縮みするのが特徴で、移動式はキャスターが付いているため倉庫を移動させることができます。
◇用途
テント倉庫の用途は、その名のとおり荷物などを保管する倉庫としての使用がほとんどです。例えば運送業の荷物保管倉庫として使用できるのはもちろん、工場建設の現場では建築機械の整備場のような使い方もできます。
また、テント倉庫に商品などの荷物を運んできて、そこで仕分けるといったような荷捌き場としても使用できますし、消防設備等を設置することにより、野球やサッカーなどスポーツの室内練習場としての使用も可能です。
従来の倉庫と使い分けてコストを削減
テント倉庫は、荷物を保管する倉庫としてはもちろん、さまざまな使い方ができます。従来の倉庫と使い分ければコストの削減も可能です。
◇低コストで倉庫の造設が可能
テント倉庫を造設する際の費用相場は、一般的に坪単価で20〜40万円とされていますが、立地や建築条件等で大きく変わってきます。在来建築・システム建築・プレハブ建築よりも低コストで建築できるのは間違いなく、条件などによっては坪単価10万円以下で建築することも可能です。
また、建物自体が軽量であることから地震の影響を受けにくく、他の3種類の倉庫よりも短期間で建築できます。断熱性能が低く室内環境が外気温の影響を受けやすいため、生鮮食品や精密機械などの保管には不向きですが、燃焼しない物の保管に最適です。
◇移設が容易
テント倉庫は、簡単に移設できる点も大きな特徴です。建築が簡単にでき、解体も簡単にできます。そのため造設したテント倉庫を解体して、別の場所にその骨組みやシート膜を運び、そこで再度組み立て直すことも可能です。
これはテント倉庫ならではの特徴で、他の3種類の倉庫では同じようにいきません。造設も移設も簡単にできるテント倉庫を活用すれば、倉庫にかかるコストを削減することも可能です。
物流業界は、2024年問題によるトラックドライバーの時間外労働規制で労働環境が改善されていますが、運送量の減少による売上・利益の減少が懸念されています。解決策として中継輸送と保管効率の向上があり、その手段の1つが倉庫の造設です。
倉庫の建築方法には在来建築、システム建築、プレハブ建築があります。さらに、低コストで短い期間のうちに建築可能なテント倉庫も注目されています。
テント倉庫は軽量の鉄骨にシート膜をかぶせる簡易な構造で、運送業の荷物保管や工場の建築機械整備場など、多様な用途に対応可能です。費用は坪単価で20〜40万円で、条件によっては10万円以下で建築できます。また、テント倉庫は移設が容易で、建築と解体が簡単にできるため、他の倉庫と比べてコスト削減に貢献するでしょう。