工場建設における火災対策はどうする?設計段階で考慮すべきこととは | 工場建設パーフェクトガイド
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工場建設における火災対策はどうする?設計段階で考慮すべきこととは
公開日:2024.05.31 更新日:2024.06.07
工場建設において、火災対策は不可欠です。対策をしておけば、実際に火災が起きた時でもスムーズに対応できます。
工場の火災原因は、電気・ガス・石油類の設備や作業による火花や破片が主な要因です。工場火災の件数は減少傾向にあり、火災を防ぐためには、発火源を取り除く対策や延焼を防ぐ構造を考慮する必要があります。
防火戸や自動消火装置の導入などの火災対策は、火災および二次被害を防止し、従業員の安全を守るために不可欠です。
目次
工場の火災原因は?
工場の火災はさまざまな原因が挙げられます。例えば、電気・ガス・石油類のいずれかを用いる設備・器具およびそれらを使用した作業で生じる火花や破片などが主な原因です。こちらでは、工場の火災件数および原因について、詳しく紹介します。
◇工場の火災は減少している
東京理科大学総合研究院火災科学研究所がまとめた資料によると、工場などや倉庫の火災件数は減少傾向にあるとされています。
その理由として挙げられるのは、放火火災の急減、たばこ火災の減少、自動点火火気設備の普及、マッチやライターの取り扱い不備による火災・火遊び・たき火の不始末の減少、燃焼器具・電気器具などの出火防止技術の向上などです。
なお、工場の火災を引き起こす出火箇所で多いのは、一般倉庫、置き場、外周、作業場、工場などの建物内とされています。
◇発火源
工場などにおける主な発火源として、溶接器・溶断機、工業用炉、乾燥機、フライヤー、ストーブといった電気・ガス・石油類のいずれかを用いる設備・器具およびそれらを使用した作業で生じる火花や破片などが挙げられます。また、電気機器そのものや配線周りからの出火も少なくありません。
設計段階で考慮すべきことは?
工場建設を検討しているのであれば、大規模な工場の火災を防ぐためにも、考慮すべき対策や導入すべき設備がいくつか挙げられます。作業員の方の安全を確保するためにも、設計段階からそれらの対策を施しておくとよいでしょう。こちらでは、工場の火災を防ぐために求められる対策について、詳しく紹介します。
◇発火を防ぐ仕組み
酸素、可燃物、熱源の3つの要素を取り除くことにより、工場火災および発火の防止が期待できます。なお、具体的な対策として挙げられるのは、溶接作業時の火花拡散防止、溶接作業現場周辺の可燃物の除去、可燃物と熱源の接触の防止などです。
また、引火性液体ではなく非引火性のものを使用するといった可燃物対策も挙げられるでしょう。
◇延焼を防ぐ仕組み
延焼を防ぐ構造を取り入れることにより、工場の倒壊や周囲への延焼の防止が期待できます。こちらの構造は外壁・軒裏防火構造と呼ばれ、建物の周囲で火災が発生した際、延焼を抑制するために一定の防火性能を持った外壁や軒裏の構造のことです。
また、延焼および大規模な工場の火災を防ぐためにも、消防法に従い、消火器、屋内消火栓、スプリンクラー、自動火災報知設備といった消火設備などを備えておくとよいでしょう。
工場建設で取り入れたい火災対策
工場を建設される際、取り入れるべき火災対策がいくつか挙げられます。例えば、防火戸の設置や自動消火装置の導入などです。こちらでは、防火戸や自動消火装置について、詳しく紹介します。
◇防火戸の設置
防火戸とは、防火ドア、防火扉、防火シャッターとも呼ばれており、火災が発生した際には建物の内部で火が燃え広がるのを防ぎ、他の建物への延焼を抑制できる防火設備のことです。火災発生時に防火戸を閉めることにより、一時期に火や煙を塞き止められる、重要な役割を担っています。
なお、一口に防火戸といっても、常時閉鎖式防火戸や随時閉鎖式防火戸といった特定防火設備のもの、金属製サッシや袖壁といった防火設備としてのものがあるため、適したものを選ぶことが重要です。
◇自動消火装置
自動消火装置とは、火災が発生した際、自動で消化活動を行うシステムのことです。火災発生時に特殊樹脂を使用したセンサーチューブの最高温度部分が破裂することにより、装置が作動され、消火剤が放出されます。
なお、自動消化装置は非常にシンプルな構成をしているため、取り付けが容易であり、半年に1度の点検のみで消化機能を維持できるといった点が大きな特徴であるといえるでしょう。
火災対策は安全性の向上に不可欠
工場を建設される際、火災による二次被害を防止するためにも、作業員の方の安全を確保するためにも、火災対策を施しておくとよいでしょう。こちらでは、火災対策の重要性について、詳しく紹介します。
◇火災およびそれによる二次被害を防げる
工場の火災は大きな損害が生じるだけではありません。その他にも、さまざまな二次被害をもたらします。例えば、環境汚染や人的被害を誘発するおそれがあります。また、場合によっては再稼働が難しくなる場合もあるでしょう。火災対策を施しておくことにより、火災による二次被害の誘発を抑制できます。
◇従業員の安全を守れる
火災対策を施しておくことにより、従業員の安全を確保できる可能性が高いです。一般住宅の火災とは異なり、危険物、発火物、化学物質などが保管されている可能性が高い工場での火災の場合、不安を与えるだけではなく大規模な人的被害をももたらしてしまうおそれがあります。
火災により、爆発や毒ガスの発生などを誘発してしまった場合、従業員を含め、多くの方が被害に遭われる可能性もあるかもしれません。
工場であれば、たとえ全焼してしまったとしても、新しく建設し直しさえすれば、再稼働自体は可能でしょう。しかし、失われた命が戻ることは決してありません。火災による大規模な人的被害を防ぎ、従業員の安全を確保するためにも、火災対策の実行は非常に重要です。
工場での火災は、様々な要因によって引き起こされます。主な原因は、電気・ガス・石油を使用する設備や作業による火花や破片です。しかし、近年の統計によると、工場や倉庫の火災件数は減少しています。これは、放火火災の急減や火気使用の注意が向上したこと、自動点火火気設備の普及、さらには建築技術の向上による防火対策の効果が挙げられます。
工場火災の原因の一つとして挙げられるのは、溶接器・溶断機、工業用炉、乾燥機、フライヤー、ストーブなどの火花や破片の発火源です。また、電気機器や配線からの出火もあります。工場を建設する際には、火災対策を施すことが重要です。例えば、酸素、可燃物、熱源の3つの要素を取り除くことで火災を防ぐことができます。また、延焼を防ぐためには、建物の外壁や軒裏に防火構造を取り入れることが有効です。
工場建設では、防火戸の設置や自動消火装置の導入などの火災対策が必要です。防火戸は、火災が発生した際に建物内での火の蔓延を抑制し、他の建物への延焼を防ぐ役割を果たします。自動消火装置は、火災発生時に自動で消火活動を行うシステムであり、人的被害を最小限に抑えるために効果的です。これらの火災対策は、火災による被害を最小限に抑え、従業員の安全を確保するために欠かせません。