【2024年版】工場建設で活用できる補助金は? | 工場建設パーフェクトガイド
工場建設の情報
【2024年版】工場建設で活用できる補助金は?
公開日:2024.05.31 更新日:2024.06.07
工場建設のコストが増大しており、設備工事費の高騰や資金不足による建設遅滞が問題となっています。設備工事費は世界的な資材不足や労働力不足により上昇し、人手不足も工期延長を招いています。大手企業も建設計画に遅れを抱え、資金調達が難航しています。
資金不足により借入だけでは不足し、返済で事業が悪化する可能性もあります。補助金の活用が重要で、中堅・中小企業向けには多くの補助金が用意されています。補助金は建設後の資金繰りを安定させると同時に、従業員の労働環境改善にもつながります。
目次
工場建設コストは増大傾向
近年、工場建設にかかるコストは急速に増大しています。特に2024年に入ってもその傾向は続いており、多くの企業がその影響を受けています。工場建設のコスト増大は、設備工事費の高騰や資金不足による建設遅滞といった問題を引き起こしています。
◇設備工事費の高騰
建築コストのなかでも、特に設備工事費の上昇が顕著です。建築コストの高騰には、世界的な資材不足や労働力不足が影響しています。鉄鋼やコンクリートなどの主要建築資材の価格が上昇し、それに伴い工事費も高騰しているのです。
また、建設業界全体での人手不足も深刻化しており、技能工の賃金が上昇する一方で、工期が長引く傾向にあります。これらの要因が相まって、工場建設にかかる費用は年々増加しているのが現状です。
◇大手企業でも建設が遅滞
設備工事費の高騰だけでなく、資金不足による建設計画の遅滞も問題となっています。その代表例が、半導体大手のTSMCの工場建設計画です。TSMCは新たな工場を建設する予定でしたが、予算の超過と資金調達の難航により計画が遅れています。
計画の遅れの主な原因は、設備投資が膨大な額に達していることです。資金不足はTSMCに限らず、多くの企業が直面している問題でしょう。特に新興企業や中小企業にとっては、建設資金を確保することが大きな課題となっているのです。
銀行や投資家からの資金調達が難航し、計画の変更や延期を余儀なくされるケースが増えています。これにより、予定通りの運用開始ができず、企業の成長戦略にも影響を与えているのです。
借入だけでは資金不足
工場建設や事業拡大に必要な資金を確保するため、多くの企業は借入を検討します。しかし、借入だけでは資金が不足する可能性があるため、注意が必要です。特に日本政策金融公庫からの借入には制約があり、その点を十分に理解しておくことが重要となります。
◇借入では足りない可能性
日本政策金融公庫では、一般貸付で3,000万円、条件を満たす特別設備貸付で7,200万円まで融資を受けることができます。しかし、これらの融資を上限いっぱいまで借りられるとは限りません。
申請額と実際に借りられる額にギャップが生じることが多く、希望する額を全額借りられない場合があります。例えば、工場建設にかかる費用が予想を超えて高額になる場合、借入額だけでは全ての費用を賄うことができず、資金が不足する可能性が高まるでしょう。
資金不足により必要な設備を導入できなかったり、建設が遅延することで生産開始が遅れたりすることがあります。そのため、借入だけに頼らず、自己資金の確保や他の資金調達方法を検討することが重要です。
出典元:日本政策金融公庫 融資のご案内
◇返済で事業が悪化する可能性
借入金は返済義務が伴います。収支計画が上手くいかず、予想した利益が上がらない場合、借入金の返済が重荷となり、事業への投資額が減少するリスクがあるのです。
また、返済に追われるあまり、新たな設備投資や研究開発に回す資金が不足し、結果的に事業が悪化する可能性もあるでしょう。特に、事業がまだ安定していない段階で多額の借入を行うと、返済負担が大きくなり、経営の柔軟性が失われます。
万が一、収益が予想通りに上がらない場合、返済のためにさらなる借入を繰り返す悪循環に陥る危険性もあり、企業の財務状況が悪化し、最悪の場合には事業の継続が困難になるかもしれません。
返済不要の補助金を活用
工場建設や事業拡大を計画する際、借入だけでなく返済不要の補助金を活用することが非常に有効です。特に、中堅・中小企業にとって、補助金は大きな支援となり、資金調達の負担を軽減できます。
◇継続の補助金
2024年も引き続き公募が開始されている補助金として、「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」があります。
事業再構築補助金は、新たな事業分野への進出や事業転換を支援するための補助金で、新規事業の立ち上げや業態転換など、企業の成長戦略を強力に後押しします。例えば、新たな市場への参入や革新的な技術の導入など、さまざまな事業再構築の取り組みを支援することが目的です。
引用元:経済産業省「事業再構築補助金」
一方、ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上や技術開発を支援する補助金です。新製品の開発や生産プロセスの革新など、ものづくりの現場でのイノベーションを促進することを目的としています。ものづくり補助金を活用することで、製造設備の導入や改良を進めることができ、生産効率を向上させることが可能です。
引用元:中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構「ものづくり補助金総合サイト」
◇新設の補助金
2024年から新設された「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」は、企業の成長を促進するために設けられた補助金です。この補助金は、賃上げを伴う省力化や自動化投資を支援することを目的としています。
補助対象は中堅・中小企業であり、省力化や自動化を通じた賃上げを実施する計画を有する企業が対象となります。
補助率は事業費の最大50%で、補助金額の上限は50億円です。これにより、企業は大規模な投資を実現しつつ、費用の半分を補助金でカバーすることができます。
また、この補助金を申請するためには、賃上げを伴う省力化・自動化投資が必須要件です。具体的には、従業員の賃金引き上げ計画とそれに伴う投資計画を提出し、承認を受ける必要があります。
この要件を満たすことで、企業は補助金を受け取ることができ、労働環境の改善と生産性向上を同時に実現することが可能です。
引用元:経済産業省「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」
補助金で事業拡大と労働環境改善が叶う
補助金を活用することで、事業の拡大と従業員の労働環境改善を同時に実現することが可能です。特に中堅・中小企業にとって、補助金は資金繰りの安定や従業員の待遇向上に大きく貢献します。
◇建設後の資金繰りが安定する
補助金を利用することで、工場建設後の資金繰りを安定させやすいです。例えば、事業再構築補助金やものづくり補助金を活用することで、初期投資の一部を補助金で賄えます。補助金を活用することで、企業は自己資金の負担を軽減し、余裕を持って運転資金を確保することが可能になるのです。
補助金は返済不要であるため、借入金とは異なり返済負担がありません。その結果、資金繰りが安定しやすくなり、予期せぬ支出にも柔軟に対応できる財務体質を構築できます。また、補助金を受けることで金融機関からの信用が向上し、将来的な資金調達もスムーズに進めることが可能です。
◇従業員の労働環境改善につながる
ものづくり補助金や「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」では、賃上げが要件に含まれているため、補助金を申請する過程で従業員の待遇改善が実現されます。具体的には、従業員の賃金引き上げ計画を提出し、その計画が認められることで補助金を受け取れるのです。
賃上げに伴う投資は、労働環境の改善にも直結します。省力化や自動化を進めることで、従業員の業務負担を軽減し、より快適な労働環境を提供することが可能です。例えば、自動化設備の導入により、重労働や単純作業の削減が実現され、従業員の労働環境が大幅に向上します。
工場建設にかかるコストは増大し、設備工事費の高騰や資金不足による建設遅滞が深刻化しています。特に、世界的な資材不足や労働力不足が主な要因として挙げられます。これにより、建築資材の価格が上昇し、工事費が高騰しています。また、建設業界全体での人手不足も深刻化しており、技能工の賃金が上昇し、工期が長引く傾向にあります。
大手企業でも建設計画が遅延しており、資金調達が難航しています。たとえば、半導体大手のTSMCは新工場建設の予定でしたが、予算超過と資金調達の難航により計画が遅れています。資金不足はTSMCに限らず、多くの企業が直面している問題であり、特に新興企業や中小企業にとっては、建設資金を確保することが大きな課題となっています。
借入だけでは資金が不足する可能性があり、日本政策金融公庫からの借入には制約があります。そのため、補助金の活用が重要です。
補助金を活用することで、資金繰りの安定や従業員の待遇向上が見込まれます。特に中堅・中小企業にとっては、補助金は大きな支援となり、事業の拡大と労働環境の改善を同時に実現することが可能です。