省エネ化で工場の電気料金を抑えたい!削減できる方法は? | 工場建設パーフェクトガイド
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省エネ化で工場の電気料金を抑えたい!削減できる方法は?
公開日:2024.05.31 更新日:2024.06.04
工場建設の検討する際、省エネ化について知っておくことで、電気料金を削減できるかもしれません。
製造業における電気料金の高騰は、工場運営に大きな影響を与えています。特に、燃料価格の上昇が主な原因となっており、日本の火力発電に依存する現状では避けられない問題です。こうした状況下で、工場の電気料金を抑えるためには省エネ化が不可欠です。
省エネ対策として、工場の設計段階からの断熱材や日射対策、既存工場でのLED照明の導入、インバータの利用、デマンド監視システムの導入、遮熱塗装などが効果的です。
目次
電気料金の高騰!燃料価格の高騰が原因?
さまざまな物を製造する工場では、その製造工程において大きなエネルギーを消費します。そのため電気料金の高騰は、製造業にとって死活問題です。
◇エネルギー消費量
工場ではその製造工程において大きなエネルギーを消費し、その種類はさまざまです。
製造業で使用されているエネルギーの種類として、電気や蒸気・熱、石油・石炭、ガス、再生エネルギーなどがあります。再生エネルギーの使用比率はまだまだ少ないですが、蒸気・熱、石油・石炭、ガスといったエネルギーは、それぞれ2割~1割程度の比率で使用されています。
そんな、数あるエネルギーの中で最も使用比率の高いエネルギーが電気です。製造業における使用エネルギーの実に5割は、電気が占めています。
出典元:資源エネルギー庁「令和3年度エネルギー消費統計結果概要(令和5年3月発表)」
◇電気料金は高騰している
ここ数年、電気料金は高騰しています。電気料金高騰の主な原因は、何といってもロシアによるウクライナ侵攻を発端とした石油や石炭、天然ガスといった燃料価格の高騰です。日本の電力は、現在その大半を火力発電に頼っています。そしてその火力発電の燃料となるのが、石油や石炭、天然ガスであり、ウクライナ問題のあおりをもろに受けている状況です。
工場の省エネ化を図りたい!よくある悩み
出典元:フォトAC
電気料金の高騰が家計に与えるダメージももちろん大きいですが、より多くの電力を消費する工場ではなおさらです。こちらでは省エネ対策のヒントとなるアイデアを紹介します。
◇設計によって電気代を抑えられる?
工場建設前の段階であれば、建物の設計やデザインで省エネ化を図ることも可能です。
例えば建物に断熱材を使用する場合は、設計段階で計画し、建設の際に導入するのが最も効率的でしょう。断熱材は建物を建てた後でも導入できますが、後から導入すると建物のデザイン性を損なう可能性があります。他にも窓の外側に庇を取り付けて建物に当たる日射量を抑え、空調効率を上げる方法などで電気代を抑えることも可能です。
◇既存工場にもできる対策は?
出入口にビニールシートを取り付けて空調効率を上げる方法は、既存工場でもできる省エネ対策の1つです。その他、工場内の照明設備を節電効果の高いLED照明に入れ替えるだけでもかなりの省エネ対策になります。
工場の電気代を削減するためにできることとは?
断熱材やビニールシート、LED照明を利用した節電方法にはもちろん効果がありますが、節電効果は少ないかもしれません。こちらで紹介するのは、工場の電気代をより削減するための具体的な方法です。
◇インバータ化
インバータとは、電化製品の中にあるモーターの回転数を制御する装置のことで、この装置を用いてモーターの回転をコントロールし、必要以上に電力を消費することを防止します。また、インバータ装置は省エネだけでなく、その製品の自動化や高速化にも対応可能です。
◇デマンド監視システム
デマンドとは「需要・要求」という意味です。電力会社との取引に使われるデマンド値とは「30分間における平均使用電力(kW)」のことを指します。工場では、一般家庭向けの低圧電力ではなく、法人向けの高圧電力を契約することになるのですが、この高圧電力の基本料金を大きく左右するのが「契約電力」です。
契約電力は、直近1年間の最大デマンド値を基に設定されることとなっており、最大デマンド値が大きいほど翌年の基本料金が高くなります。つまりこの最大デマンド値を監視して抑制することにより、基本料金を下げることができるのです。
◇遮熱塗装
遮熱塗装も有効な省エネ対策の1つです。工場の屋根は、夏場になると70℃以上に上昇することもあり、その熱の侵入で空調効率は大幅に減少します。しかし屋根の塗装を遮熱塗装にすることで、屋根の温度上昇を抑えることができ、空調効率が上がるうえにCO2排出量の削減も可能となるのです。
電気代を削減できた事例を紹介
電気代を削減したいが方法を実行するか悩んでいる方もいるかもしれません。こちらでは、実際に工場で電気代を削減できた事例を紹介します。
◇インバータ化
ある工場では製品を水洗ポンプによりシャワー洗浄しています。従来は水洗ポンプのバルブを開閉して水量を調整していましたが、水洗ポンプにインバータを設置し、バルブを全開にしたままモーターの回転数で水量を調整することにより省エネに成功しました。
また別の工場では、排気用スクラバーの風量をダンパで調整しています。このスクラバーファンにインバータを設置することで、それまでダンパで調節していた風量をモーターの回転数で調節できるようになり、省エネに成功しました。
◇デマンド監視システムによる電気代削減
デマンド監視システムの導入により、電気代の削減に成功した事例もあります。工場における電気料金は、最大デマンド値を基に設定されます。そこでこの工場ではデマンド監視システムであらかじめ設定した最大デマンド値を超えそうになると通知されるよう設定しました。
最大デマンド値を超えた場合は、不要な設備を停止するなどして電力を管理したのです。これにより契約電力を最小限に抑えることができ、電気代の削減に成功しています。
製造業では、製造工程で多くのエネルギーを消費しますが、その中で最も使用比率の高いのは電気です。ここ数年、ロシアによるウクライナ侵攻による燃料価格の高騰を背景とした電気料金の高騰が問題となっています。日本の電力は主に火力発電に依存しており、その燃料として石油、石炭、天然ガスを使用しているため、影響を受けやすいのです。
省エネ対策として、工場設計時に断熱材を導入することや日射を抑える庇の取り付けが有効とされています。既存工場ではビニールシートの取り付けやLED照明への交換が効果的です。
さらに、インバータ化によりモーターの回転数を制御し、デマンド監視システムを導入することで電気代を削減できます。遮熱塗装も屋根の温度上昇を抑え、空調効率を向上させる手段です。実際の事例では、インバータの導入によりポンプやファンの省エネが成功し、デマンド監視システムによる電気代削減も実現しています。