工場建設の工法による違いとデメリットを解決する錢高組の取組み | 工場建設パーフェクトガイド
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工場建設の工法による違いとデメリットを解決する錢高組の取組み
公開日:2024.04.24 更新日:2024.05.08
錢高組は300年以上の歴史を持ち、「信用第一、堅実経営、積極的精神、和親協同」を掲げています。同社のこだわりは構造にも現れ、H形鋼の地震時の「横座屈」を防ぐ「YZ補剛工法」や免震工法を開発しました。工法にも独自性があり、低層鉄骨造建物向けのローコスト工法や近接開孔基礎梁工法など、ニーズに合わせた選択肢を提供しています。
目次
工場建設における「工法」とは?
工場建設における「工法」とは、建築プロセスにおける具体的な方法や手法を指します。工法は、建設プロジェクトの設計や実行段階で採用される特定の技術や手順の体系です。建設現場においては、安全性や効率性、品質の確保などを考慮して、最適な工法が選択されます。
◇システム建築
システム建築は、建物を構成する部材を標準化することにより、建築の一連のプロセスをシステム化した建築工法です。広い空間を必要とする低層建築に幅広く対応し、コンピューター上で条件を指定することで、最適な仕様をすばやく立案することができる合理的なシステムで、建築コストや工期を抑えることができます。工場、倉庫、物流施設、店舗、事務所などの様々な施設に利用可能です。
◇在来工法
柱や梁で建物を支える昔ながらの建築工法で、すべてオーダーに合わせて建材を加工・用意して組み立てます。基本的に一品生産となり、設計やデザインの自由度が高く、建築上の制約がある工場に向いています。
◇テント工法
軽量鉄骨の骨組みに専用のシートをかぶせて天井や壁を形成する建築工法で消費電力を抑え、耐震性が高いのが特徴です。シンプルな構造なので、建設費用が安くすみ、工期も短縮できるのが魅力です。
◇プレハブ工法
プレハブ工法は、工場で規格化された建築部材を生産し、現場で組み立てる工法です。標準化された部材を使用するため、システム建築よりも低コスト・短工期が期待できますが、部材が規格化されているため、設計の自由度はそれほど高くありません。
工場建設における工法のメリット・デメリット
画像出典先:伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社
工場建設における工法の選択は、プロジェクトの成功に大きな影響を与えます。各工法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、建設プロセス全体の効率性や安全性、コスト、品質などに影響を及ぼします。
◇システム工法
システム工法のメリットは、工場で生産・加工済みの建築部材を現場で組み立てるだけなので、工期を短縮できます。また、システム工法は鉄骨やコンクリートなどの耐震性の高い建築資材を多く使用しているため、耐震性と耐久性が高いのも大きなメリットです。
一方でシステム工法は規格化された建築部材や設計を多用するため、自由度は在来工法よりも制限される傾向があります。また、規格化された建築部材は専門の建設業者でなければメンテナンスが難しい場合があるのが難点です。
◇在来工法
在来工法は部材を現場で組み立てるため、自由度が高く、複雑な形状や間取りの建物を建設したい場合に適しています。また、メンテナンスのしやすさも特徴の一つです。部材が単純に組み合わされているため、部材の交換や修理が必要になった場合は比較的簡単に対応できます。
デメリットは現場で部材を組み立てていくため、工期が長く、システム工法よりも倍近くの時間が必要です。また、部材が規格化されていないため、コストが高くなるのがデメリットだと言えるでしょう。
◇テント工法
テント工法は鉄骨の骨組みにシートを張るだけの構造であるため、工期の短さがメリットです。また、規格化された建築部材を使用し、短期間で建築するので、人件費も低く抑えられるためトータルコストが削減されます。
その一方で簡単な構造であるため、他の工法に比べると耐久性の低い点がテント工法の欠点です。
◇プレハブ工法
プレハブ工法は、建築部材を工場で生産し、現場で組み立てる建築手法です。そのメリットは、工期が短くコストが安いことです。部材の規格化が進んでいるため、システム建築よりも一般的にコストが低くなります。
しかし、デメリットも存在します。自由度が低くなり、設計の柔軟性が制限されることがあります。また、高度に規格化された部材は専門の業者によるメンテナンスが必要であり、大空間の確保が難しい場合もあります。
錢高組とはどんな会社?建設事業へのこだわり
錢高組は1705年に設立された中堅ゼネコンです。創業以来、「信用第一、堅実経営、積極的精神、和親協同」をモットーに、お客さまが満足できる品質の建物や、構造物を提供している企業です。創業300年以上続く銭高組には、老舗の建設会社ならではの、強いこだわりがあります。
◇構造
H形鋼の地震発生時に起こる「横座屈」を防ぐために、横補剛材の省略が可能な「YZ補剛工法」を開発しました。YZ補剛工法は、鉄骨梁に接合された鉄筋コンクリートの床の横補剛効果を評価し、横補剛材の省略を可能にしています。
免震工法
「アイソレータ」と「ダンパー」の2つの免震装置を組合わせて、地震の振動を建物に伝えないようにする構造法を採用し、地震が起きると、免震装置が変形し、建物はほとんど変形せず、ゆっくりと左右に平行移動します。
◇工法
錢高組ではニーズや状況に応じて異なる工法を採用しています。主な工法について以下で解説します。
倉庫・SC向け低層鉄骨造建物のローコスト工法
この工法は、倉庫やショッピングセンターなどの低層鉄骨造建物向けに開発されたものです。その特徴は、基礎工事を削減して工期を短縮し、コストを削減することにあります。従来の建物では、地中梁と大きなフーチングを使用して基礎構造を接合していました。
しかし、この工法では、鉄骨柱と杭を直接接合することが可能となり、地中梁を減らすことができます。これにより、基礎工事のコストを削減し、工期を短縮することができます。具体的には、鉄骨(CFT構造を含む)柱と杭を直接接合することで、地中梁を極力減らし、ローコストで建物を建設することが可能となります。
近接開孔基礎梁工法
鉄筋コンクリート造梁に複数の開孔を設ける場合、これを2倍の位置まで近づけることを可能とした鉄筋コンクリート造基礎梁工法です。従来は、隣り合う開孔の中心間隔は、双方の開孔径平均の3倍以上を確保する必要がありましたが、これにより、同じ範囲でも設けられる開孔数が増え、設備配管や電気配線などを迂回させずにほぼ最短距離で配置できるようになりました。
錢高組の施工事例を紹介
つぎに、こちらでは銭高組の施工事例をご紹介します。
◇ツクバダイキャスティングベトナム社 第3工場(フォーノイ工場)・倉庫棟
ベトナムのフォーノイ工場は、ツクバダイキャスティングベトナム社が2020年に立ち上げ、2023年3月に完成した施設です。この工場は、アルミダイカストとマグネダイカストの両方を生産することができる施設です。
特に車載関連の需要増に備えて、製品ごとに鋳造からバリ取り(ショットブラスト)、そして機械加工までの一貫生産ラインを構築しています。この一貫生産ラインの導入により、サイクルタイムを短縮し、在庫を削減することが可能となっています。この施設は、S造地上1階建てで、建築面積と延床面積はそれぞれ2,231.29平方メートルです。
◇京セラベトナム社 第3工場
京セラベトナムの第3工場は、ベトナムのフンイェン省の第二タンロン工業団地内に新設された3棟目の工場です。工場で製作されたコンクリート部材を現場で組み立てるプレキャストコンクリート(PC)構造となっており、施工性の向上や工期の短縮に貢献しています。
この工事では、日本人の作業所長の指導の下、ベトナム人のナショナルスタッフが担当者として活躍し、延床面積が4万㎡を超える大規模な工場を、わずか9か月という短い工期で無事に完成させました。
工場建設における「工法」は、建築プロセスにおける具体的な方法や手法を指し、安全性や効率性、品質の確保などを考慮して選択されます。主な工法には、システム建築、在来工法、テント工法、プレハブ工法などがあります。
工法の選択はプロジェクトの成功に大きく影響し、各工法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。例えば、システム工法は工期を短縮でき、耐震性や耐久性が高いですが、部材の規格化により設計の自由度が制限されます。一方、在来工法は自由度が高く、メンテナンスが容易ですが、工期が長くコストが高くなる傾向があります。
錢高組は中堅ゼネコンとして、様々な工法を採用し、施工事例においても技術力と柔軟性を発揮しています。同社は、構造や工法においても革新的な取り組みを行い、例えば横補剛材の省略可能な「YZ補剛工法」や免震工法を開発しています。
また、倉庫・SC向けの低層鉄骨造建物向けのローコスト工法や近接開孔基礎梁工法など、ニーズや状況に応じた工法も提供しています。このように、錢高組は建設事業において高い技術力と顧客満足度を追求し、300年以上にわたる歴史の中で培ってきたこだわりを貫いています。