【2024年最新版】基本設計 vs 実施設計:法人向け工場建設に最適な建設会社3選 | 工場建設パーフェクトガイド
工場建設の流れ
【2024年最新版】基本設計 vs 実施設計:法人向け工場建設に最適な建設会社3選
公開日:2024.03.28 更新日:2024.10.15
基本設計は、建物の全体的な構想やコンセプトを確立し、依頼者と共有することが目的です。これに対し、実施設計は、その構想を具体化し、実際の工事に必要な詳細な設計を行います。工場建設を成功させるためには、両段階で温度管理や衛生管理、作業の安全性などを十分に考慮することが不可欠です。
さらに、設計段階で省エネルギー設備やSDGs対応を組み込むことで、光熱費削減や社会貢献にもつながり、長期的な企業利益の向上にも寄与します。
目次
基本設計と実施設における3つの違い
基本設計を基に詳細部分の検討・確定を経て、実施設計が進行します。実施設計では、基本設計で決定された方針や概要を踏まえながら、より具体的な詳細を設計していきます。基本設計では大まかな設計方針が示されますが、実施設計では具体的な配置や仕様などの詳細が決定されます。
◇タイミング
基本設計と実施設計のタイミングは、建築工事の進行に応じて異なります。基本設計は、顧客との契約が成立した後、すぐに行われる最初のステップです。この段階で、建物の全体的な構造やデザイン、機能が決まります。
その後、基本設計で決めた内容をもとに、実施設計が行われます。実施設計では、細かい部分や設備の配置など、具体的な設計が進められます。つまり、基本設計は建物のコンセプトを形にする段階で、実施設計はそのコンセプトを詳細に具体化する段階です。
◇目的
基本設計と実施設計の目的は、建築工事の段階によって異なります。
基本設計の目的は、依頼者と建物の完成イメージを共有し、大まかな仕様を決定することです。この段階で、建物の外観や機能、設備の配置など、全体のコンセプトが決まります。
一方、実施設計の目的は、建物を実際に建てるための詳細な設計を行うことです。ここでは、建物の構造や設備、材料の選定など、工事に必要な具体的な情報を提供します。
要するに、基本設計では依頼者とイメージを共有し、建物のコンセプトを決めることが重視されます。対して、実施設計では、そのコンセプトを具体化し、工事を進めるための準備を整える段階です。
◇割合
基本設計と実施設計の違いは、工事の進行段階における設計の詳細さと役割によるものです。
基本設計は、依頼者とのイメージ共有を重視し、建物の全体的なコンセプトを決めることが主な目的です。この段階では、具体的な細部にまで踏み込まず、工事全体の2〜4割程度の設計が行われます。
一方、実施設計では、基本設計で決まったコンセプトを具体的に実現するための詳細な設計を行います。ここでは、建物の構造や設備、材料の選定など、工事に必要なすべての情報を提供し、工事全体の6〜8割程度の設計が進められます。
工事を円滑に進めるには、実施設計により多くの時間と手間をかけることが重要で、基本設計で確立したコンセプトを詳細に計画することが求められます。
実施設計の主な内容と実施設計のポイント
実施設計は、建築工事の具体的な計画を立てる重要な段階です。この段階では、基本設計で確定したコンセプトを具体化し、工事の実施に必要な詳細な設計を行います。実施設計の主な内容とポイントについて、以下で詳しく解説します。
◇実施設計の主な内容
実施設計には、意匠設計・構造設計・設備設計の3つに分けられ、それぞれで行う設計は次のとおりです。
意匠設計
意匠設計では、建築物の内部空間・外観やコンセプトのデザインに関する設計を行います。建築基準法を含む構造・空調衛生・電気設備など、建築に関係するすべてを統合した設計です。敷地や周辺環境へ配慮して設計していきます。
構造設計
構造設計とは、建物の基礎・骨組み・柱・梁といった構造を設計していくことです。自然災害などによる建物の倒壊などに配慮した構造を考えなければなりません。そのため、業者側は地質学や構造力学などの知識があり、尚且つ計算力が求められます。
設備設計
設備設計とは、建物のインフラ設備に関する設計のことです。ここでいう設備とは、配管・空調・換気・消火設備などが含まれます。建物内の安全を確保するためにも、非常に重要な設計です。特に工場などは、ときに危険性の高いものを扱うため、空調設備などに関する専門的な知識が求められます。
◇実施設計のポイント
実施設計は、依頼主と業者間で設計契約を締結後、平面詳細図・断面図・立面図・矩計図などの設計に移ります。
このとき、食品工場の実施設計の場合はHACCP対策(防虫対策)が必要です。HACCP対策(防虫対策)の設計では、汚染区域と清潔区域のエリア分けをします。次に工場入口サニタリーエリアの動線計画では、手を使用しないセンサーボタンを採用しているのが特徴です。
実施設計において設備機器を最優先に考慮することで使える工場を実現できます。各部の設計が終わったら建築確認申請書の提出です。工場調書・構造計算書・省エネルギーの届出の内容を検討を行い、建築確認申請書を作成していきます。建築確認申請書を提出後、通知書を受け取ってから工事を開始する流れです。
工場設計におけるトラブル事例
工場建設ではさまざまなトラブルがありますが、特に工場設計でのトラブルも多く発生しています。
◇馴染みの業者に依頼して失敗
一例として、食品工場で起きたトラブルがあります。この問題の原因は、「どの建設会社でも工場の設計ができるはずだ」という誤解にありました。食品工場では、衛生レベルの異なる作業場間を移動する際に、手洗いやエアシャワーができる前室を設ける必要があります。
しかし、この事例では前室がなく、作業室も衛生面を考慮していない設計になっていました。また、既存の工場を基に設計が行われたため、依頼主が求める完成イメージが反映されていなかったことも、トラブルの一因でした。
◇結露問題で設計事務所を提訴
ある飲食チェーンが建設した新工場に結露やカビが発生し、同社は設計を担当した設計事務所を提訴しました。問題が発生した後、生産品質は対策によって改善されましたが、同社は設計と工事の管理に対する責任を追及しました。訴訟の対象が施工者ではなく、設計・工事監理者のみであることから、両者の信頼関係に違いがあったと考えられます。
工場建設の設計で後悔しないために
工場建設で後悔しないためには、設計内容や流れなどを知っておくことです。トラブルにならないためにも次の3つのポイントを押さえておきましょう。
◇レイアウト
工場の設計において、レイアウトは非常に重要な要素のひとつです。工場内のレイアウト次第で、従業員の安全性や作業効率、さらには衛生管理の徹底度までもが大きく変わる可能性があります。
例えば、動線が複雑であったり、作業エリアが無駄に広がっていたりすると、従業員が安全に作業できないリスクが高まるだけでなく、無駄な移動時間が増え、全体の作業効率が低下してしまいます。そのため、工場の設計段階で無駄のない効率的な動線を確保することが非常に重要です。
さらに、工場のレイアウトを設計する際には、現在の生産活動だけでなく、将来的な変化にも対応できるように考慮することが重要です。汎用性や拡張性を意識した設計を取り入れることで、新たな生産ラインの追加や、別の商品を製造する際にも、スムーズに対応できるようになります。
◇機能性と安全性
機能性と安全性を確保するためにはいくつかの重要なポイントがあります。
温度管理
特に食品工場においては、食品の安全性や品質を確保するために、作業環境と製品管理の両面から厳格な温度管理が不可欠です。適切な温度管理を行うことで、食品の劣化を防ぎ、衛生基準を満たすことが可能になります。このため、工場内で異なる作業エリアごとに最適な温度帯を設定し、その温度を安定して維持するためのシステムの導入が求められます。
さらに、この温度管理システムを選定する際には、初期投資であるイニシャルコストだけでなく、長期的な運用費用であるランニングコストも慎重に考慮する必要があります。例えば、エネルギー効率の高いシステムを選択することで、ランニングコストを抑えつつ、環境負荷も軽減することが可能です。また、導入後のメンテナンスや修理コストも視野に入れた判断が求められます。
衛生管理
安全性の確保と衛生面の徹底した配慮は、工場運営において最優先されるべき課題です。特に食品工場や医薬品工場などでは、外部からの侵入や害虫・害獣の発生を防ぐことが極めて重要です。これには、工場の周囲をしっかりと管理し、出入り口や通気口などの開口部に侵入防止策を施すことが含まれます。
さらに、ホコリや雑菌の発生を抑え、異物の混入を防止するためには、工場内の空気の質や清掃頻度を厳しく管理する必要があります。これには、高性能の空気清浄機やフィルターシステムの導入、定期的な清掃と消毒、スタッフの衛生教育の徹底が含まれます。
また、建築素材や設備の選定も衛生管理に大きな影響を与えます。防カビや防錆機能を持つ素材、容易に清掃ができる設備や設計を採用することで、衛生基準を高く保つことが可能です。設計段階からこうした対策を取り入れることで、長期的に見ても衛生管理が容易になり、工場の運営効率も向上します。
作業の安全性
製品の加工工程においては、従業員の安全を最優先に考慮することが不可欠です。たとえば、素材を切断したり加熱したりする作業では、危険が伴うため、作業者が安心して作業を行える環境を整えることが非常に重要です。そのため、適切な安全装置を設置し、機械や設備の操作ミスを防ぐ仕組みを導入することが求められます。
また、安全な作業環境を維持するためには、作業手順を明確にし、従業員がその手順に従って作業を進められるようにすることも必要です。これには、定期的な安全教育や訓練を通じて従業員の意識を高めることも含まれます。さらに、作業場のレイアウトを工夫し、作業動線を最適化することで、作業効率を高めながら事故を防止することが可能です。
◇環境への配慮
工場を建設する際には、環境への配慮が非常に重要です。省エネルギー対策を取り入れることで、光熱費の削減だけでなく、企業の利益向上や社会貢献にもつながります。そのため、設計段階で省エネルギー設備がしっかりと組み込まれているかを確認することが大切です。
さらに、持続可能な開発目標(SDGs)への対応も求められます。工場の設計や運営は、SDGsに基づいて行うことで、環境への配慮だけでなく、社会貢献にも寄与します。これにより、ランニングコストの削減も期待でき、工場の経営にとっても大きなメリットとなるのです。設計の段階でこれらの要素をしっかり考慮することが、成功する工場建設のポイントとなります。
基本設計と実施設計の違いは、建築工事の段階や目的によって明確に異なります。基本設計は顧客との契約後に行われ、建物全体の大まかな構造やデザインを決定します。一方、実施設計は基本設計の後に行われ、基本設計で確立された方針を具体化し、詳細な配置や仕様を設計します。
実施設計の主な内容は意匠設計、構造設計、設備設計の3つに分かれており、それぞれが建物の内外部や設備に関する詳細な計画を立てます。実施設計では、機能性や安全性、環境への配慮が重要なポイントとなります。
特に食品工場の場合、衛生管理や作業環境の安全性を確保することが求められます。トラブルを避けるためには、レイアウトの工夫や省エネルギー対策、SDGsへの対応などを含めた総合的な設計が必要です。