工場建設を請け負う業者の種類と業者選定のポイント | 工場建設パーフェクトガイド
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工場建設を請け負う業者の種類と業者選定のポイント
公開日:2024.03.28 更新日:2024.03.28
工場建設の成功には、適切な業者の選定が不可欠です。ゼネコン・建設会社、工務店、建築設計事務所など、業者は種類によって得意分野や特色が異なります。業者選定のポイントは、複数見積もりの比較や業者の実績・地域制、経営状況、専門性などを検討することが重要です。安価な業者や積極性の欠如には注意し、信頼できるパートナーを選ぶことが成功の鍵です。
目次
工場建設を請け負う業者の種類
工場建設は業者選びが重要です。業者によって業務形態が異なるのはもちろん、得意としている分野やエリア、コストなども異なります。工場建設を依頼する場合は、業者の業務形態、特色を知っておくのが重要です。工場建設を請け負う業者は大きく分けて3つあります。
◇ゼネコン・建設会社
工場建設を手掛ける業者のひとつがゼネコン・建設会社です。基本的にゼネコン・建設会社は企画・提案から設計、施工まで一貫して請け負っています。ゼネコンといっても種類があり、スーパーゼネコン、ゼネコンも大手・準大手ゼネコン、中小・地方ゼネコンの3つに分けられ、多少の違いがあります。
スーパーゼネコン
スーパーゼネコンは現在、国内に5社しかありません。スーパーゼネコンは、東京スカイツリーなどの大規模なプロジェクトに携わっている場合が多いです。
大手ゼネコン
大手ゼネコンは研究開発、部門・技術部門・設計部門を持っているケースがほとんどで、建築以外にも土木・インフラ工事なども請け負っています。
工場の施工も得意としている場合が多く、企画から施工まで一貫して請け負っており、対応力にも長けているのが特徴です。また、中小・地方ゼネコンと比べて工場の施工実績が豊富である場合がほとんどです。
中小・地方ゼネコン
中小・地方ゼネコンは、施工できるエリアが限られており、中には施工する建物の規模が制限されているケースもあり、工場建設の実績が少ない建設会社もあります。しかし、中には工場建設の実績が豊富な中小・地方ゼネコンもあり、特定のエリアについて熟知している点が強みです。
◇工務店
工務店は、住宅を主な事業とし、地域密着型で営業を行う建設会社です。主に住宅の建設やリフォームなど各種工事を行いますが、大規模な建物の場合はゼネコンなどと提携して仕事を進めます。工務店は、工事全体の責任を持ち、職人の手配や工事の管理を行います。
規模や営業スタイルは様々で、昔ながらの小さな工務店から、大規模な工務店やフランチャイズ加盟店まであります。それぞれが得意とする工法やデザインが異なりますが、間取りやデザインの自由度が高いのが特徴です。
◇建築設計事務所
建築設計事務所は、建物や空間の設計や監理を行う専門家が集まる組織です。一人の建築家が独自に運営する場合もあれば、複数の建築家が協力して仕事を行う場合もあります。日本では、建築士事務所として登録され、都道府県知事の認可を得る必要があります。
設計事務所は、モノや空間をデザインし、建築や内装のプロセスを管理します。彼らの仕事は設計図面の作成だけでなく、建設中の監理や工程管理も含まれます。規模の大小は様々ですが、一級建築士であればどんな建物の設計も可能です。建築設計事務所は、建物や空間を創造し、その実現に向けてプロジェクトをリードする役割を果たします。
工場建設でよくあるトラブル
画像出典先:フォトAC
工場建設におけるトラブルは、様々な要因によって引き起こされることがあります。技術的な課題や設計の不備、予算やスケジュールの管理上の問題、地域社会とのトラブル、そして法規制や安全基準の遵守など、多岐にわたる可能性があります。これらのトラブルが解決されないと、工場の建設プロジェクトは遅延し、予算超過や品質問題などを引き起こす恐れがあります。
◇近隣トラブル
工場建設での近隣とのトラブルは、年々増加しているのが現状です。現在は、騒音対策の一環として騒音規制法が各都道府県で設けられていますが、以前まで問題にならなかった音でもクレームが入るケースも増えています。また、機械による振動や通行止めでのトラブルとなるケースもあります。
◇建設会社に関するトラブル
近隣トラブルだけでなく、建設会社とのトラブルもあります。以下で主なトラブルについてご紹介します。
建設会社の倒産
工事中に建設会社が突然倒産してしまったというケースも少なくありません。このようなトラブルを防ぐには、発注先の業者の与信管理を行うことです。また、発注先の情報収集や他者との比較も忘れずにしておくと、発注後のトラブルを回避できます。
業者の実績不足
工場建設の実績が少ない建設会社に発注した場合もトラブルに発展しやすいです。
よくある事例として、発注側の意図を汲み取ってもらえなかったり、急な変更にも柔軟に対応してもらえないというケースもあります。契約前に業者について調べておくのはもちろん、相談段階での対応にも着目しておくのがおすすめです。
見積もり
見積もりでのトラブルでよくある事例は、内訳の詳細が記載されておらず後々追加で料金を請求されてしまう可能性があります。このようなトラブルを防ぐ方法として、複数社への見積依頼、費用相場の下調べをしておくのが重要です。
工事の遅れ
工事の遅れはよくあることですが、工場建設の場合、竣工の遅れが稼働の遅れにつながります。売上にも響くためトラブルに発展するケースが多く、補償額が低く設定されているケースが多いです。
そのため、発注者側も工事の進行状況を把握しておくこと、適正な補償内容を契約書に明記させることがトラブル防止につながります。
工場建設は業者選定が重要!選定のポイント
工場建設で一番重要なのは業者選定です。トラブルを回避するためにも、業者選定は慎重に行いましょう。
◇複数見積もりを取って比較
工場建設の際には、まず複数の業者から見積もりを取ることが重要です。これにより、異なる業者の価格や提供されるサービス内容を比較検討することができます。自社のニーズに最も適した業者を選択するためには、複数の見積もりを入手することが不可欠です。
また、見積もりを取得することで、工事の予算や工期の妥当性を確認することができます。業者間の競争が生まれることで、結果としてより良い条件が提示される可能性もあります。これにより、コスト面や品質面で最適な選択が可能となります。
◇ニーズに合った実績・地域制
工場や倉庫の建設において、業者選定における重要なポイントの一つは、その業者が持つ実績です。建設会社の実績は、過去にどのようなプロジェクトに関与し、どの程度の成功を収めたかを示す重要な指標です。特に、ニーズに合った実績や、同様の規模や用途の建設プロジェクトに関わった経験があるかどうかを確認することが重要です。
例えば、食品工場の建設に関する実績があるかどうか、あるいは危険物倉庫の構築に関する実績があるかどうかなどを確認します。
さらに、地域性も重要な要素です。地域に密着した建設会社は、その地域の特性や法規制、地質条件などを十分に理解しており、それに応じた適切な提案や施工が可能です。また、地元の協力会社とのネットワークがあるため、建設プロジェクトの効率的な進行や現場管理が行われるでしょう。地域に密着した業者は、地域社会との良好な関係を築くことができ、地域のニーズや要望にも柔軟に対応できます。
◇会社の経営状況
工場建設の業者選定において、会社の経営状況は非常に重要です。なぜなら、建設業は長期的なメンテナンスや保証が必要な商品を扱っており、会社が存続しているかどうかが保証の根拠となるからです。
建設業界では経営能力を審査する経審という機関が存在し、その採点は信頼性の指標として利用されます。安価な価格だけでなく、信頼できる会社であるかを確認するためには、経営状況を検討することが重要です。
特に、大企業や全国展開している会社では担当者が頻繁に変わることや、過去の情報が把握しづらいことがあります。そのため、会社が適切な記録を残し、継続的な情報管理体制を構築しているかどうかも重要なポイントです。
過去の施工状況や契約内容などの記録が整っていれば、将来のメンテナンスや保証においてもスムーズに対応することができます。結果として、安心して工場建設を任せられる信頼性の高い業者を選択することが可能となります。
◇業者の強みや専門性
依頼しようとしている工場の形態を得意分野としている業者であれば、適切な提案が期待できます。業者の得意分野を知っておくのが重要です。工場の種類によっては、HACCPやGMPといった認証を取得が必要な場合があります。その場合は基準を満たした建築でなければ認証の取得ができません。そのためにも専門知識の有無や得意分野を把握しておくのがポイントです。
信頼できる業者に依頼して工場建設を成功させよう
工場建設をする際は、業者の会社そのものだけでなく担当者の対応などにも着目しておくと失敗を防げます。次のポイントを押さえておきましょう。
◇安すぎる価格を提示する業者には要注意
見積もりが安い業者には要注意です。最初に価格を安価で提示して契約に持っていくという手法を使う業者も少なくありません。こうした場合、追加オプションが必要となるケースが多く、後々トラブルにつながります。
このような手口に引っかからないためにも見積もりや費用相場などの下調べを怠らないのが大切です。
◇業者の積極性を見極める
工場建設をプロジェクトとして捉えてくれている業者は信頼できる建設会社といえます。一緒に考えた上でプランを提案してくれるか、発注者側の話を聞いて尚且つ質問してくれるか、メモを取っているかなどもポイントです。
信頼できるパートナーを選ぶなら価格だけでなく、相談段階から積極的には興味を持ってくれている業者を選びましょう。
工場建設を請け負う業者は、主にゼネコン・建設会社、工務店、そして建築設計事務所の3つに分類されます。ゼネコン・建設会社は企画から設計、施工まで一貫して行う大手から中小までの業者であり、スーパーゼネコンは国内で数社しかなく大規模プロジェクトに携わります。
工務店は地域密着型で住宅建設やリフォームを中心に行い、建築設計事務所は建物や空間の設計や監理を専門とします。工場建設におけるトラブルは様々で、近隣トラブルや建設会社との問題などが挙げられます。
これらのトラブルを避けるためには、業者選定が重要であり、複数の業者から見積もりを取り、過去の実績や地域制、経営状況、専門性などを考慮する必要があります。安価な業者や積極性を欠いた業者には注意が必要であり、信頼できるパートナーを選ぶことが成功の鍵となります。