工場建設は企画・基本計画から！工場建設を成功に導くポイント | 工場建設パーフェクトガイド

工場建設の流れ

工場建設は企画・基本計画から！工場建設を成功に導くポイント

公開日：2024.03.27　更新日：2024.03.27

工場建設は明確な目的を持つ企画・基本計画からスタートし、工場の用途や規模、構造、形状、動線などを定めます。この基本計画は契約の根拠ともなり、配置計画、平面計画、立面計画、断面計画の4つに分かれて具体的な設計方針が策定されます。基本設計では建物の設計コンセプトや構造が基本レベルで計画され、一方で実施設計では具体的な設計が行われます。

工場・倉庫建設の基本計画では、建物の間取りやゾーニング、動線、配置などの構想を立案し、関連する法令を確認しながら進めます。この段階で問題点を抽出し、新工場のコンセプトと将来構想を練り上げます。基本計画の重要性は、後からの改善が難しいため初期段階での明確なビジョンが重要であり、設計変更はコストやスケジュールに影響します。

工場建設は目的を明確にすることから始まる

工場建設にあたり、工場が完成するまでには幾多の工程がありますが、なかでも重要なのが「企画・基本計画」です。

工場計画の最初のステップ

工場建設の流れとしては、まず明確な目的を定義し、その目的に沿って基本計画を立てます。
基本計画ができていないと、工場が完成して稼働後に生産ラインに課題があることに気づいても、改善が難しい場合もあります。そのため、初期段階で明確なビジョンを持ち、途中での設計変更や予想外のコスト発生、スケジュール遅延を防ぐためにも目的をはっきりさせましょう。

基本計画の概要と基本設計との違い

基本計画は、工場の用途や規模、構造、形状、動線、導入機械などをヒアリングして作成され、契約判断の材料にもなるものです。
大きく分けると、「配置計画」「平面計画」「立面計画」「断面計画」の4つの計画に分けられ、この計画に基づいて、具体的な設計方針や基本設計が立案されます。

基本設計は、建築物の設計コンセプトや構造を基本的なレベルで計画します。具体的には、建物の計画や形状、構造、設備、用途、コストなどを基本的な設計や、建築物のイメージや雰囲気を表現するためのデザイン要素や外観、空間構成、照明計画なども含まれます。

一方、実施設計は基本設計に基づいて具体的な設計をする段階です。建築設計図や機械配置図、配管図、配線図などを作成し、電気や照明、換気、空調などの設備や給水・排水容量などの細部を詳細に決定します。

基本計画で決める主な内容と重要性

工場・倉庫建設の基本計画では、建物の間取りやゾーニング、動線、配置などの大まかな構想を立案し、関連する法令を確認しながら計画を進めていきます。

基本計画の重要性

工場建設における最も重要な工程は、「企画・基本計画の作成」で、現状調査をして問題点を抽出し、新工場のコンセプトと将来構想を練り上げていきます。

工場の建設は基本計画で設定した目的に従って行われ、工場が完成し稼働を開始してから、「生産ラインに課題がある」と気付いたとしても、改善が難しいケースもあります。
また、設計案を途中で変更すると予想外のコストやスケジュール遅延が発生する可能性があるため、初期段階で明確なビジョンを持つことが重要です。

基本計画で決定する主な内容

基本計画で決定するのは、配置・平面・立面・断面の確定と詳細図の作成です。具体的には、各機械や作業スペースの配置を最適化し、動線を確保することや、平面図における機械の配置や動線、作業スペースの詳細などがあります。

また、工場外観のイメージを具体化し、立面図を作成や機械の高さやクレーンの数などの断面図を詳細に設計、仕上げ材料などの基本的な部分が確定していきます。

工場建設を成功させるための基本計画のポイント

基本計画の設定には、大きく分けると3つのポイントがあります。

将来を見据えた計画

まず、新工場の役割や用途を明確にします。製造する製品やどれぐらいの量を生産するのか、そしてその製品の重要度を検討し、将来的な用途の変更の可能性も考慮しなければいけません。用途が明確であれば、基本計画もスムーズに設定できるでしょう。

ランニングコスト

工場建設時に建築費を抑えると、稼働後にランニングコストや人件費が増えるリスクがあります。計画や設計段階で、稼働後のコスト計算を怠ることがありますが、長期的な利益を生み出すためにはランニングコストを含めた試算が必要です。

対策としては、稼働期間ごとに設備別のランニングコストを算出し、低コスト・高収益のバランスを検証します。検証には生産性の差も考慮し、製造機器や条件の違いを反映させます。
また、設備の違いが生産性に影響を与える場合もあり、製造機械などの違いも含めて、生産性の差を考慮して検討することが大切です。

従業員の労働環境

製品にもよりますが、温度や匂いなどの労働環境に配慮が必要です。労働環境の整備は設備やランニングコストにも関係し、労働力不足の中で人員確保の鍵となります。

劣悪な労働環境では人員確保が難しくなり、その結果人件費が上がります。なかでも、休憩場所や社員食堂などのアメニティも重要で、これらが社員のモチベーションをアップさせ、それが生産性にもつながるのです。

工場建設では導線も重要

工場を新設・増設する際、工場内のレイアウトは、営業利益にもつながる重要な要素です。

導線計画

導線計画は工場内での汚染を防止するために、「人」「物」「空気」の3つの流れを整備する重要な手段です。
近年、特に食品工場で注目されているのはアレルゲンのコンタミネーションです。そのため、ゾーニング計画とともに、動線計画においてもアレルゲンの流れに留意する必要があります。

ゾーニングとは、製造工程や衛生度に基づいて、食品工場やその他の製造施設内をゾーンに区分することで、一般的な衛生管理プログラムでは、「清潔」「準清潔」「汚染」の3つの段階のゾーンに分けて考えられます。

食品を扱う工場の場合

導線計画はHACCPシステムの一部であり、生物的・化学的・物理的危害要因を管理するための重要な手段です。特に、食品工場では単に人・物・空気の流れを一方通行に整備するだけでなく、ゾーニング計画や衛生管理と結びつき、衛生的な環境を確保しなければいけません。
ゾーニングが不十分な工場では、作業場所や工程が変わるたびに汚染物質が移動する可能性が高まるため、注意しましょう。