工場建設のコストダウンを目指す!設計・施工の別発注も有効? | 工場建設パーフェクトガイド
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工場建設のコストダウンを目指す!設計・施工の別発注も有効?
公開日:2024.02.21 更新日:2024.02.21
工場建設においてコストダウンを目指すためには、慎重な計画と効果的な戦略が必要です。設計と施工を別々に発注する方法は、品質を維持しつつ建設費用を抑える手段として注目されています。その利点や具体的な効果について探ってみましょう。
目次
工場建設の価格を左右する要因
工場の建設には多額の資金が必要ですが、工夫次第で安く抑えることが可能です。 工場建設の価格を左右する要因としては、建物の構造形式と工法があります。工場を設計する際は、建設コストの水準を表す建築費指数を考慮することも大切です。
◇構造形式により費用は大きく変わる
構造形式により、建材と工事期間が異なり、同じ広さの工場でも、構造形式を変えることで1億円以上のコストダウンを図ることも可能です。工場建設に採用される主な構造形式とそれぞれの平均坪単価は、以下のとおりです。
鉄骨造
平均坪単価:69.3万円
工場の約95%は採用している構造形式で、柱や梁などに鉄製の建材を使います。鉄骨造には、鋼材の厚みが6mm以下の軽量鉄骨造と6mm以上の重量鉄骨造の2種類があり、工場には重量鉄骨造を採用するのが一般的です。
鉄骨鉄筋コンクリート造
平均坪単価:141.9万円
鉄骨を鉄筋で囲み、コンクリートを打ち込みます。耐震性や防火性が高く、鉄骨造よりも強度があるため、工場の他、大規模マンション、超高層ビルなどにも採用される構造形式です。
安価で建てられる木造
平均坪単価:45.0万円
構造部材に木材を使用する構造形式で、強度は劣りますが価格が安いのがメリットです。近年、木造工場は増加傾向にあります。
◇「建築費指数」を考慮に入れる
建築費指数は、建物を建築する際の工事価格の変動を示す指標です。建築費指数の主な目的は、建設業界における工事価格の動向を把握することであり、一種の物価指数として機能します。
この指数は、個別の建物ごとに工事価格を比較するのではなく、基準となる建物を設定し、その建築工事価格を構成する細かな費目を合成して指数を算出します。そのため、実際の建物の工事価格ではなく、理論的な指数となりますが、建物の個別性を考慮した方法です。
建築費指数は、基準となる建物や基準年を定め、それを見直すことで実態に合った指数を維持します。工場建設などの場合、建築費指数を考慮することは重要です。指数が上昇すると、建築工事の費用も上昇する傾向があります。そのため、予算や計画立案の際に建築費指数の動向を考慮することが必要です。
◇利用用途に合った工法を選択
工法とは、構造の組み立て方のことです。工法によって工期を短縮したり人員を削減したりできるため、工法の変更もコストダウンにも効果的です。プレハブ工法は、工場で事前にパーツを生産・加工し、建築現場で組み立てる方式です。短い工期と低コストが魅力であり、強度も高く、用途の幅が広いです。一方、形状の自由度が低く、小規模な倉庫や工場でも柱が設置されることがあります。
システム建築は、設計と生産をシステム化した工法で、ニーズに合わせて迅速に見積もりや設計、生産が可能です。正確で高品質な建物を低コストで実現できますが、デザイン面での自由度がやや制限されます。
在来工法は日本の伝統的な建築工法で、柱と梁で建物を支えます。自由度が高く、デザインの自由度も高いですが、設計に時間と費用がかかり、機能性や経済性を重視する工場には向いていません。それぞれの工法の特徴を考慮し、利用用途に合った工法を選択することが重要です。
コストダウン達成の具体的な方法
画像出典先:フォトAC
資材の配置の仕方やサイズを変えたり、設計と施工を別の会社に依頼したりすることでも、コストダウンが図れます。工場建設の工期は長期に渡るため、工程管理と人件費を確認することも重要です。
◇資材の配置やサイズの確認
耐震強度を高めるために、壁を増設したり筋交いを設置したりするとコストがかかりますが、資材の配置を変えるだけでも、建物のバランスがよくなり建物の強度が向上します。また、特注サイズの資材が必要となる設計にすると資材費が割高になるため、規格サイズの資材で建てられる工場を設計することもコストダウンに有効です。規格サイズの資材を使えば、他の部品も安くなりメリットがあります。
◇工程管理と人件費の確認
工場を完成させるには半年から1年かかりますが、その間に事故や悪天候によって遅れが生じることがあります。工場建設には、大規模な足場の設置、重機の手配などが必要なため、工事に遅れが生じると追加費用が発生してしまうので、工程管理がとても重要です。人件費も建設費用を大きく左右するものですが、プレハブ工法やテント工法のような工期の短い工法を選べば人件費を削減できます。
◇設計・施工を別々に発注する
設計と施工を同じ会社に依頼すると手続きがスムーズに進むメリットがありますが、コスト削減を達成するためには、設計と施工は別々に発注することをおすすめします。その理由は、完成した設計図をもとに複数の建設会社に見積もりを依頼し比較することで、建物の品質を維持したまま建設費用を安くできるからです。工事内容が予算に影響されることがなくなり品質の高い工場が建てられるため、完成後のメンテナンス費用も軽減できます。
工場建設後のコストも想定した計画を
工場の運営にはランニングコストがかかるため、工場を設計する際は建設後のコストを想定して計画を立てなくてはいけません。生産効率を高めつつ人件費を抑制できる工夫をこらしたり、ランニングコストを削減するための取り組みを行うことも大切です。
◇建設計画段階から建設後の想定をする
工場は大きいため光熱費が高額になりやすく、メンテナンス費用も必要です。完成した後にかかるコストを想定して工場を設計すると、ランニングコストを安く抑えられます。例えば、光熱費を抑える方法としては、天井を低くする、断熱性の高い設計にする、省エネ性能の高い設備を導入するなどがあります。耐久性に優れた建材を採用することは、メンテナンス費用を削減するのに有効です。
◇生産性を高めつつ人件費を抑制する
生産性を高めつつ人件費を抑える方法には、いくつかのアプローチがあります。
適切なゾーニングと動線の確保
倉庫内の作業スペースを効率的に配置し、作業者が移動する距離を最小限に抑えます。これにより、作業効率が向上し、生産性が高まります。
機器の設置
エレベーターや垂直搬送機、フォークリフトなどの物流機器を導入することで、作業者の負担を軽減し、作業時間を短縮します。これにより、作業者がより多くの作業を短時間でこなせるようになります。
マテリアルハンドリング機器の導入
自動倉庫やコンベアベルトなどのマテリアルハンドリング機器を導入することで、物流プロセスを自動化し、作業者の負担を軽減します。これにより、作業効率が向上し、生産性が高まります。
生産機器のカスタマイズ
生産機器を作業環境や作業内容に合わせてカスタマイズすることで、作業の自動化や効率化を図ります。これにより、作業者の負担を軽減し、作業効率が向上します。
これらの方法を組み合わせることで、生産性を高めつつ人件費を抑えることが可能です。ただし、機器の導入やカスタマイズには初期投資が必要ですが、その後の効果によって長期的なコスト削減効果が期待されます。
◇ランニングコスト削減のための取り組み
工場でのランニングコストを削減するためには、いくつかの取り組みがあります。
空調の温度設定の見直し
空調設備の温度設定を見直すことで、室内の快適な温度を保ちながら光熱費を削減できます。夏は設定温度を上げて冷房負荷を軽減し、冬は設定温度を下げて暖房負荷を減らします。
排熱の再利用
工場で発生する排熱を再利用することで、エネルギー効率を向上させます。例えば、排熱を利用して温水を生成したり、暖房用に利用したりすることが考えられます。
LED照明への変更
従来の蛍光灯や白熱電球からLED照明に変更することで、消費電力を大幅に削減できます。LED照明は消費電力が低く、寿命も長いため、メンテナンスコストも削減できます。
電気料金プランの見直し
電気料金のプランを見直し、ピーク時の電力使用を避けることで、電気料金を削減できます。また、再生可能エネルギーを積極的に導入することで、電気料金を削減することができます。
これらの取り組みを組み合わせることで、工場のランニングコストを効果的に削減することが可能です。
工場建設の価格を左右する要因には、構造形式と工法があります。鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造、木造などの構造形式によってコストが異なります。また、工法の選択や建築費指数の考慮も重要です。具体的なコストダウン方法としては、資材配置やサイズの最適化、工程管理と人件費の確認、設計と施工の別個発注などが挙げられます。
さらに、工場建設後のランニングコストを抑えるためには、生産性向上や省エネ対策などの取り組みが必要です。これらの工夫を組み合わせることで、効果的なコスト削減が可能です。