工場建設の工法を紹介!構造の確認やコストを抑えるポイントも解説 | 工場建設パーフェクトガイド
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工場建設の工法を紹介!構造の確認やコストを抑えるポイントも解説
公開日:2024.02.21 更新日:2024.02.21
工場建設では、様々な工法が採用されます。システム工法やプレハブ工法、テント工法などがあり、それぞれに特徴があります。しかし、工法選定だけでなく、建築構造やコスト管理も重要です。こちらでは、各工法の特性や構造の確認方法、さらにコストを抑えるためのポイントについて解説します。
目次
工場建設の主な工法を3種類紹介します
工場建設の主な工法には、システム工法、プレハブ工法、テント工法があります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、採用する工法によって建築費用と工期が異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。
◇標準化重視のシステム工法
建物の部材を徹底的に標準化することを重視した建築工法です。コンピュータで自動化できるように、設計から建材の選定、施工までシステム化されているため、品質の安定化、建築コストの軽減、工期短縮が図れるメリットがあります。自由度が高く、超高層ビルや橋梁などで採用される高張力材を使えば、中間柱有りスパンの場合は120m、無柱スパンの場合は60mの空間を実現することが可能です。
◇簡易なプレハブ工法
工場建設に使う柱、梁、壁、床などをあらかじめ工場で生産加工を行い、建設現場では組み立てだけ行う工法です。簡易的な建築工法でシステム工法と類似していますが、工場ごとに設計するシステム工法に対し、プレハブ工法は建材や寸法が決まっているため、さらにコスト削減と工期短縮を図れます。
デザインの自由度が低く、耐震性と耐火性が劣るのがデメリットですが、技術の進歩により強度、防音、防寒などの機能性は改善しつつあります。
◇シンプルなテント工法
キャンプで使用するテントのように、軽量鉄骨の骨組みを設置し、壁と天井に膜材を覆う建築工法です。構造がシンプルで、使用する建材の価格が安いため、コスト削減と工期短縮を最も実現できます。
ちなみに、倉庫の工期はシステム工法で約4カ月、プレハブ工法は約3カ月で、テント工法は約2カ月です。その他にも、ひし形や三角形などの土地や地盤が弱い土地にも建てられる、温室効果で光熱費が削減できるなどのメリットもあります。ただし、熱がこもりやすいため空調システムが必要で、温度変化にも弱いので保管できる危険物の種類と数が制限されるのがデメリットです。
工場建設工法に加え構造にも注意するべき
画像出典先:山本安工務店
工場建設では、工法だけでなく構造によって、建物の機能性と建設費用が違ってくるため、工法に加え構造に関する知識も必要です。工場建設で採用される主な構造は、鉄筋造、鉄骨鉄筋コンクリート造、木造の3つです。
◇一般的な鉄骨造
柱や梁などに鉄製の建材を使って構築される構造のことで、工場の約95%はこの鉄骨造を採用しています。鉄骨造には、軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類があり、ふたつの違いは鋼材の厚みで、軽量鉄骨造は6mm以下で、重量鉄骨造は6mm以上です。
工場の建物には、一般的に重量鉄骨造を採用しています。耐久性に優れ、柱や壁の少ない広いフロアを建てられ、加工した建材を現場で組み立てるだけなので、コスト削減と工期短縮が図れます。平均坪単価は69.3万円です。
◇大型工場に向く鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄骨の周りを鉄筋で組み、コンクリートを打ち込み施工する構造です。鉄骨造と鉄筋コンクリート造のよさを兼ね備えているため、鉄骨造よりもさらに強度があり、耐震性や防火性にも優れているメリットがあります。
大型の工場だけでなく、大規模マンション、超高層ビルなどにも鉄骨鉄筋コンクリート造が採用されています。丈夫な工場を実現できますが、工期が長く建設費用も高くなるのがデメリットです。平均坪単価は141.9万円と一般的な鉄構造より高額になります。
◇安価で建てられる木造
柱や梁などの構造部材に、木材を使用した構造のことです。木造住宅のイメージが強くありますが、国産木材の利用を促進されていることもあり、近年工場建設での採用例が増えています。小規模な工場に向いた構造で、建設費用が安く済みますが、強度が劣り耐久年数が短いのがデメリットです。平均坪単価は45.0万円です。
安く工場を建てるためのチェックポイント
工場建設には多額の費用が必要ですが、ポイントを押さえて建設することで費用を安く抑えられます。主なチェックポイントは、資材の配置・選択、土地の選定、工事の工程管理の3つです。
◇資材の配置・選択
鉄骨造の場合、資材を均等に配置すると建物のバランスが保たれます。建物の強度が増し、梁や柱で建物を強化する必要がなくなるため、その分コストを削減することが可能です。資材のサイズも費用を大きく左右します。特注サイズの資材は割高ですが、規格サイズで設計すれば特注サイズの資材が不要になり、建設に必要な他の部品も安く調達できます。
◇建設する土地の選定
工場を建設する際の、土地の選びも重要です。工場に適した土地は、工場の用途によって違ってきますが、工場は四角形をしていると安く建設できるため、四角工場を建てられる広い土地を選ぶとコストを削減できます。反対に、コストがかさみやすい土地の特徴は、次のふたつです。
地盤の弱い土地
地場の弱い土地は、地盤改良工事や地盤補強工事を行わなくてはいけません。工事を怠ると地盤沈下が起こり、工場の建物の損壊だけでなく、工場内に設置した精密機械や設備機器が故障したり不具合が生じたりするリスクもあるため注意が必要です。
狭い土地
入れる車の種類が限定され、資材の運搬が困難なため、別途費用が発生する可能性があります。
◇工事の工程管理
工場の建設工事には、大勢の職人が携わり、大掛かりな足場を組み、工事に必要な重機も手配しなくてはなりません。そのため、工期に遅れが出て工事期間が延長されると追加費用が発生するため、安く工場を建てるためには工事の工程管理も重要なポイントです。
無駄な費用が発生しないように、コンクリート作業、足場の設置、職人の作業期間など一つひとつを、徹底して管理することでコスト削減が図れます。
工場建設には主にシステム工法、プレハブ工法、テント工法の3つの工法があります。それぞれにはメリットとデメリットがあり、建築費用と工期が異なります。システム工法は標準化を重視し、自由度が高く大規模な建築に向いています。
プレハブ工法は工場で事前に加工された部材を組み立てるため、コストと工期を削減できますが、デザインの自由度が低く耐震性や耐火性が劣ることがあります。テント工法はシンプルで安価ながら工期短縮が可能ですが、熱や温度変化に弱いため保管物に制限があります。
また、工法だけでなく建築構造も重要で、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、木造などの選択肢があります。これらの要素を適切に組み合わせることで、効率的かつコストを抑えた工場建設が実現できます。