【工場建築】倉庫の建設費用は?構造別の費用について | 工場建設パーフェクトガイド
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【工場建築】倉庫の建設費用は?構造別の費用について
公開日:2023.12.19 更新日:2024.09.30
倉庫の建設費用は、建築構造によって異なります。鉄骨造は約43.1万円/坪、鉄筋コンクリート造は約45万円/坪、木造は約36.3万円/坪です。鉄骨造は地震に強いがサビに弱く、鉄筋コンクリート造は遮音性が高い反面、建築費用が高い傾向があります。木造は費用が低いが耐火性や耐久性が劣ります。
また、倉庫は主にテント倉庫、プレハブ倉庫、システム建築倉庫の3種類に分類され、それぞれに特徴があります。
テント倉庫は短期間で建設可能でコストも低い一方、台風などでシートの劣化が懸念されます。プレハブ倉庫は工場で生産されたパーツを組み立てるため、短期間使用に適しており、コストも抑えられます。システム建築倉庫はコンピューターで設計や生産を行い、強度が高い資材を使用できるため、大型倉庫の建設に向いており、短工期・低価格・高品質が特徴です。
目次
倉庫の種類は?種類ごとの特徴と用途
倉庫は、建物の用途に応じて3種類に分類できます。それぞれの特徴や用途について詳細に解説します。
◇テント倉庫
テント倉庫は、キャンプ用のシートのような軽量な素材で屋根や外壁を覆う構造の倉庫です。主に骨組みの上にシートを張るだけで済むため、他の倉庫に比べて非常に短期間で設置できます。急いで倉庫を建設する必要がある場合や、期間限定の保管スペースとして活用するのに適しています。
テント倉庫を建てる際も他の倉庫と同様に建築確認申請が必要ですが、申請が迅速に進むため、早急に建設を進めたいときには最適な選択肢となります。
デメリットとしては、長期にわたる使用や強風・台風などの厳しい気象条件に耐えられるかどうかです。シートが劣化することがあり、定期的なメンテナンスや張り替えが必要になる可能性があります。。
◇プレハブ倉庫
プレハブ倉庫は、工場であらかじめ製造された部材を現場で組み立てて完成させるタイプの倉庫です。この工法により、現場での施工時間を大幅に短縮できるため、工事現場や仮設事務所のような短期間の使用に適しています。
また、テント倉庫に比べて強度が高く、よりしっかりとした構造を持っています。そのため、外部環境からの影響をより長期間防ぎ、保管物を安全に守ることができます。さらに、建設費用も比較的抑えられるため、コストパフォーマンスに優れた選択肢です。
◇システム建築倉庫
システム建築倉庫は、設計、資材の選定、見積もり、そして生産までのプロセスをコンピューターで一貫して管理できる先進的な倉庫建設方法です。特に、大規模な倉庫や工場を建設する際に採用されることが多く、強度の高い屋根材や外壁材を使用できるため、耐久性や安全性に優れています。
また、柱の数を少なくできるため、内部のスペースを広く確保することが可能で、効率的な保管や作業スペースの提供が可能です。また、従来の建築工法に比べて、コンピューターによる設計・管理により短い工期で施工が完了し、低コストで高品質な建物を実現できます。
このため、多くの事業者がシステム建築を採用するようになっており、需要が急速に増えています。施主の要望に応じた柔軟な設計が可能であり、カスタマイズされた倉庫建設にも対応できる点が大きな魅力です。
倉庫建設にかかる費用の目安と坪単価
倉庫を建てたいというとき、どのくらいの費用がかかるのかといった目安はある程度把握しておきたいものです。ここで建築にかかる費用の相場と坪単価の平均について解説します。
◇建設・建築にかかる費用の目安
倉庫の建設費用は、坪単価と呼ばれる単位で評価されます。全国平均では、約43万円/坪ですが、地域によって異なります。奈良県のように高い地域では坪単価が約123.3万円になることもあります。地域による価格の差が大きいことを覚えておきましょう。
坪単価には、建物本体の費用以外にも、図面作成費用、地盤補強工事、外装・内装工事、設備工事、確認申請費用などが含まれます。これらの内訳を確認し、見積もりを理解しましょう。
倉庫の設備内容によって、建設費用に大きな違いが生じます。例えば、高度な監視システムや温度調節機能を備える場合、建設費用は増加します。倉庫を建設するためには、土地を取得する必要があります。土地の価格は立地や地域に依存します。土地の取得費用も、建設費用に加える必要があります。
建設プロジェクトを計画する際には、坪単価だけでなく、内訳や設備内容、土地取得費用、外構工事など、総合的な費用を考慮することが重要です。建設会社や工事業者から提示される見積もりにおいても、これらの要素を詳細に確認し、予算を適切に設定しましょう。
◇全国の工場建設・建築費用における傾向や坪単価
全国の工場建設・建築費用における傾向や坪単価については、国土交通省が公表している2020年の建築着工統計調査によると、坪単価の全国平均が70.5万円で1棟あたりの費用は1億9700万円となっています。一方、各建築工法による違いはというと、木造が2600/棟で鉄骨造が2億2300万円/棟、鉄筋コンクリート造が4億100万円/棟となっています。
やはり全国平均費用についても、鉄筋コンクリート造が最も高額になっています。そうしたことから鉄骨造は、木造よりも頑丈で鉄筋コンクリート造よりも安くできるということから最も人気が高い建築方法となっています。
また、短工期・低価格・高品質という特徴から近年人気が急上昇しているシステム建築は、生産プロセスがシステム化されており資材も大量に仕入れることが可能です。そのため、従来の建築方法に比べると2割から4割ほどコスト削減が見込めるといわれています。
画像出典先:フォトAC
倉庫建設にかかる費用は構造別で異なる
素材や工法により建設費用は異なります。それぞれの構造の特徴と費用について以下で解説します。
◇鉄骨造:坪単価目安43.1万円
鉄骨造は、倉庫だけでなく工場や事務所など、さまざまな建物に広く採用されている非常に一般的な建築方法です。この工法では、鉄骨を使って柱や梁などの骨組みを作り、ボルトとナットで固定しながら組み立てていきます。
鉄骨は人間の骨のように建物全体を支える役割を果たしており、実際には「鋼」と呼ばれる合金が使用されるため、強度が高いのが特徴です。
鉄骨は単なる鉄の塊ではなく、内部が空洞になっている角パイプやH型の構造を持つため、重量を軽減しつつ高い強度を保っています。この軽量化により、地震の際に建物にかかる力を軽減できるため、耐震性に優れている点が大きなメリットです。
地震力は建物の重さに比例するため、鉄骨の軽さが構造の強さを保ちながら安全性を高める役割を果たしています。
一方で、鉄骨造にもデメリットがあります。木造よりも強度は高いものの、鉄筋コンクリート造と比較すると耐火性や遮音性が劣る点があります。また、鉄は温度変化に敏感で、夏は暑く冬は寒いという断熱性の課題もあります。
◇鉄筋コンクリート造:坪単価目安45万円
鉄筋コンクリート造は、鉄骨造の進化型とされる建築方法です。具体的には、直径1cm以上の鉄筋を網目状に組み、型枠の中に配置した後、コンクリートを流し込むことで建物の骨組みを形成します。
鉄筋の強度とコンクリートの耐火性や耐久性を組み合わせることで、頑丈で耐火性の高い構造が実現されます。また、コンクリートの使用により、鉄骨造と比べて遮音性が向上し、外部の騒音を抑える効果があります。
しかし、鉄筋コンクリート造にはデメリットもあります。まず、建築費用が他の工法に比べて高くなる傾向があり、工期も長くなりやすい点が挙げられます。また、鉄筋は錆びやすく、熱や音を伝えやすい性質を持っているため、特別な処理を施さない限り、これが建物の長期的な耐久性に影響を与えることもあります。
◇木造:坪単価目安36.3万円
木造建築は、その美しい木目と温かみのあるデザインから、倉庫や工場よりも一戸建て住宅で特に人気のある建築方法です。鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較しても、建築費用が抑えられるため、コスト面でのメリットが大きい点が特徴です。
さらに、柱や梁に使用される木材は、工場で事前に加工された部材が使われることが多く、現場での作業が効率化され、短期間での施工が可能です。
ただし、木材を主な資材とするため、耐火性や耐久性には課題が残ります。特に火災への耐性が低く、長期間の使用においても他の建築方法に比べて劣る点がデメリットとなります。そのため、木造倉庫を建設する際には、法律で定められた耐火基準を満たす必要があり、これが設計上の制約となることがあります。
倉庫の種類と費用について解説しました。まず、「テント倉庫」はシートで覆われ、比較的短期間に建てることができますが、建築確認申請が必要です。その後、シートの劣化が課題となります。次に「プレハブ倉庫」は工場で生産されたパーツを現場で組み立てる方式で、短期間の使用に向いており、強度が高く、建築費用が抑えられます。
最後に「システム建築倉庫」はコンピューターで設計から生産までほとんどの工程が自動化されており、大型倉庫や工場に適しています。近年、この方式が人気です。
倉庫建設にかかる費用は坪単価で評価され、全国平均では約43万円/坪ですが、地域によって価格が異なります。建設費用にはさまざまな要素が含まれ、設備内容や土地取得費用も影響を与えます。
また、工場建設の傾向として、鉄骨造がポピュラーで頑丈である一方、鉄筋コンクリート造は高額で、木造はコスト面で優れていますが、耐火性が課題となります。システム建築は低価格で高品質な選択肢として注目されています。