【工場建設】倉庫を建てる際に守らなければならない法律 | 工場建設パーフェクトガイド
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【工場建設】倉庫を建てる際に守らなければならない法律
公開日:2023.12.19 更新日:2023.12.28
倉庫を建てる際には、特殊建造物としての法的規制や建築制限、用途制限が存在します。特殊建造物は不特定多数の人が利用する建物で、建築基準法で定義されています。建築基準法では、火災時の被害を最小限に抑えるための建築制限が設けられています。また、都市計画法により異なる用途地域が規定され、倉庫建設の際にはこれらの法律や規制を遵守する必要があります。
目次
倉庫が該当する特殊建造物について
倉庫は特殊建造物に該当します。特殊建造物を建設する際、災害等のリスクを回避する為に、申請や対策が必要になります。以下で詳細に解説します。
◇特殊建造物とは
特殊建造物とは、映画館や図書館・百貨店など不特定多数の人が利用する建造物のことをいいます。今回ご紹介している倉庫についても特殊建造物に該当します。こうした特殊建造物の定義については、建築基準法という法律の第2条第2号に記されています。
ただし間違いやすいのが、事務所や工場です。これらは不特定多数の人というよりも特定の人しか利用しない建物ということで、特殊建造物には該当しません。
◇必要な申請や対策について
特殊建造物は、不特定多数の人が利用するため火災が発生するという恐れもあります。そうした人命にかかわる事故が発生するというリスクを伴うため、立地条件や建物の構造・防火設備などで厳しい規定があります。
したがって建物建築に着工する前には、都道府県や市などの担当課に必要な書類を提出して建築確認の手続きが必要となります。
ちなみに建築確認の目的ですが、建物の設計や敷地配置などの建設計画が、建築基準法に適合しているか?という点を第三者によって確認してもらうためです。そうした手続きを踏むことで、法律に違反した建物が建設されるのを防ぐことができます。
そして確認申請の許可が下りるには1週間以上かかるので、着工計画の際にその期間をあらかじめ踏まえておくことも大切です。その上建造物が建てられた後においても、老朽化にともなう事故や災害のリスクを防ぐために専門の技術者による定期的な調査が必要です。
建築基準法で定められている建築制限と用途制限
特殊建造物についても、建築基準法で定められている定義の一つですが、倉庫建設の際に気を付けなければならないことは他にもあります。以下で建築制限と用途制限について解説します。
◇建築制限
建築基準法では、建築制限が設けられています。この建築制限は、火事が発生した際に被害を最小限に抑えるためというのが大きな目的です。具体的な建築制限としては、耐火性のある構造であるかどうかです。とくに倉庫の場合、床面積が1500㎡以上の準耐火建築物、3階以上の階が200㎡以上で耐火建築物であるといった規定が設けられています。
そして3階以上の建物には、消防隊が屋外から進入できるような開口部を外壁面に設置することも義務付けられています。その他にも火災の際に内装材が燃え広がらないように、有害物質が出ないような内装に使う材質や使用箇所の制限もあります。
◇用途制限
都市計画法では、住宅と工場など用途の異なる建築物が混在しないように13種類のエリアからなる用途地域というルールが定められています。たとえば住宅地エリアでは、工場が建てられない。あるいは重工業の工場エリアでは、病院が建てられないといった制限です。こうした用途地域ごとに建築物が分けられる決まりごとを用途制限といいます。
そこでこうした13種類のエリアからなる用途地域の中で、営業用倉庫が建てられるのは7か所になります。それは、準住居地域や田園住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専門地域といった7か所です。これらの用途地域についてもう少し具体例をあげてご紹介すると、準住居地域は幹線道路沿いが多く住居だけでなく店舗なども建てられる地域です。一方、商業地域は、銀行や映画館・飲食店などが集まる地域です。そして田園住居地域は、農地と住宅が混在した地域になります。
画像出典先:フォトAC
倉庫を建てるのに適した土地
先ほど用途制限について解説しました。では、倉庫を建てるのに適した土地とはどのような土地なのか、土地選びのポイントについて解説します。
◇倉庫を建てるのに適した土地選び
倉庫を建てるのに適した土地選びのポイントですが、13種類からなる用途地域の中で倉庫が建てられる地域に限定されます。たとえば倉庫が建てられないような第一種低層住宅専用地域や第二種低層住宅専用地域はNGとなります。それは工場建設の際にも同様のことがいえます。また食品などを扱う倉庫であれば、スーパーや小売店への流通が確保しやすい土地が適しているといえます。
あるいは工場で生産した商品を保管する倉庫の場合には、トラックで搬送しやすいルートが確保できるような土地がふさわしいといえます。このように倉庫を新たに建てる際や借りる際には、そう何回も変更できないのであとあと後悔しないように十分な計画が必要です。
そして近年では、全国の各自治体がハザードマップを公開しています。このハザードマップを見ると、地震や土砂崩れ・津波などのリスクがどの程度なのかが把握できるようになっています。そうしたハザードマップを参考にするとことで、災害リスクの少ない土地選びというのも可能になります。
◇現地に足を運んで確認しよう
倉庫を建てる際には、すでにご紹介したような土地選びのポイントを踏まえた上で決定するのが望ましいといえます。そしてもう一つ重要なのが、必ず現地に足を運んで物件をチェックするということも大切です。たとえば土地選びでは、隣地との境界が明確になっているかどうか、あるいは隣地からの越境物がないかどうかなどです。
とくに木の枝や建物の屋根・配管など隣地からの越境物があると、トラブルに発展する恐れもあるので注意が必要です。またトラックで倉庫内の商品を搬送するには、トラックがスムーズに出入りできるかどうかといった点も十分な確認が必要です。その他にも、人通りが少ない地域では夜間のセキュリティー対策も必要になります。そうしたことは、実際に足を運んでみないと分からないことです。
倉庫は特殊建造物に該当し、建設には申請と安全対策が必要です。特殊建造物は火災などのリスクが高いため、厳格な規定が設けられています。建築確認手続きは、都道府県や市などの担当課に必要な書類を提出して行う必要があります。これは建築基準法の適合性を確認するためのもので、法令違反を防ぐ役割を果たします。
建築制限として、耐火性のある構造が求められます。特に倉庫の場合、床面積や階数に応じた耐火性の要件が設けられています。用途制限は都市計画法に基づき、特定の地域に建物の用途が制限されています。 適した土地選びのポイントとして、倉庫が建設可能な用途地域を選ぶことが挙げられます。また、商品の流通やトラックの出入りがスムーズに行える土地を選ぶことも重要です。さらに、ハザードマップを確認して災害リスクを評価し、安全な土地を選ぶことが推奨されています。