工場建設できる地目は何?工場建設に適した土地と重要な法律 | 工場建設パーフェクトガイド
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工場建設できる地目は何?工場建設に適した土地と重要な法律
公開日:2023.11.30 更新日:2023.11.30
工場建設に適した地目は「宅地」ですが、場合によっては地目変更が必要です。さらに、都市計画法、建築基準法、工場立地法などの法律を順守し、計画的な土地選びが不可欠です。工場建設は、社会と環境に対する影響が大きいため、法律と規制の順守が重要です。地目の選定と法的要件の遵守により、工場建設プロジェクトを成功に導くための基盤を築くことができます。
目次
工場建設できる地目は何?
土地を所有しているからといって、自由に建築できるわけではありません。土地の利用には地目という重要な要素が関わっており、特に工場の建設を考えている場合、適切な地目を選ぶことが必要です。そこで、ここでは土地の地目に焦点を当て、工場建設が許可される地目と、地目を調べる方法について詳しく説明します。
◇工場が建設できるのは宅地
土地は、土地の現状と用途で、22種類の土地といずれにも該当しない土地に分類されます。この分類名を地目といい、工場が建設できるのは地目コード3の宅地です。
地目コード地目
1田
2畑
3宅地
4塩田
5鉱泉地
6池沼
7山林
8牧場
9原野
10墓地
11境内地
12運河用地
13水道用地
14用悪水路
15ため池
16堤
17井溝
18保安林
19公衆用道路
20公園
21雑種地
22学校用地
23雑種地以上のいずれにも該当しない土地
地目は変更が可能なため、管轄の公務局で手続きをして地目を変更すれば、工場が建設できます。ただし、田や畑に該当する農地は、事前に農業委員会の証明書を取得しなくてはいけません。やり取りに時間がかかることもあるため、必要に応じて行政書士に相談するとよいでしょう。
◇地目の調べ方は登記簿を取り寄せる
土地の名義は分かっていても、地目は把握されていない方も多いのではないでしょうか。地目は、登記簿を取り寄せれば簡単に調べられます。登記簿を取り寄せる方法は、法務局または登記所の窓口で取得する方法、返信封筒を送付して郵送を依頼する方法、またはオンラインで請求する方法があります。
工場建設時に必要な法律は?
土地の地目が宅地でも、工場を建築する際は複数の法律によって規制されます。工場建築時に確認が必要な法律は、都市計画法、建築基準法、工場立地法の3つです。それぞれの法律について、ご説明いたします。
◇都市計画法
1969年に施行された法律で、都市の良好な発展と秩序にもとづいた整備を目指すものです。具体的には、「都市計画の基本方針」「市街地の開発事業」「土地利用のルール」「下水道、道路、公園といった施設の整備に関するルール」などが定められています。施行後も改定が行われているため、建築する前に確認が必要です。
◇建築基準法
建物の安全性、人々の健康の生命、財産を保護すること、公共の福祉の増進を目的とした法律で、建築物の構造、敷地、用途、設備などに関するルールや基準が定められています。単体規定と集団規定のふたつに分類され、それぞれの違いは次のとおりです。
単体規定
建築物の安全性と衛生に関わるルールで、すべての地域で適用されます。
集団規定
建築物と街の関係性にもとづくルールで、都市計画区域および準都市計画区域に適用される規定です。
建築基準法に違反した建物は、行政指導を受けて建築物の正規化を行う必要があり、場合によっては罰則が科されることもあります。行政処分や罰則の対象となるのは、工場の所有者だけでなく、工場建設に関与した設計者、工事監理者、施工業者など、全ての関係者です。
◇工場立地法
工場の環境保全と適正、経済の良好な発展と福祉の向上を目的とした法律で、法律にもとづき調査および勧告、命令などを行います。対象となるのは、製造業、電気・ガス・熱供給業の業種(水力、地熱、太陽光発電所は対象外)で、工場の敷地面積が9,000㎡以上、または建築面積が3,000㎡以上の工場です。
工場建設に適した土地とは?地目で左右される工場建設
最後に、工場建設の土地選びで注意すべき点と、工場建設に適した具体的な地域をご紹介いたします。
◇工場はどこでも建てて良いわけではない
まず、注意したいのが、地目が宅地であれば、工場はどこにでも建てて良いというわけではないということです。前項でご紹介した法律では、工場建設が可能な地域や条件などが定められています。法律上では、近隣住民に対する工場建設の事前説明は義務ではありませんが、条例では義務となっていることもあります。工場は、騒音、大気汚染、悪臭の原因となるため、建設反対運動が起こり、選んだ土地に工場を建設できなくなる可能性もゼロではありません。
◇工場建設に適した地域は?
工場建設に適した土地について見てみましょう。工場建設時に関わる法律の基準を満たす、具体的な地域は次のとおりです。
都市計画法
市街化区域とそれ以外の区域のふたつがあり、市街化区域にはさらに12用途地域があります。工場が建設できる地域は、市街化区域でそのうちの準工業地域、工業地域、工業専用地域工業系のいずれかです。工場の種類によっては、選んだ地域に工場が建てられない場合もあるため、必要に応じて市役所の担当課、コンサルタント、建設業者などに相談することをおすすめします。
建築基準法
工場を建設する際は、建築基準法が定める日照権に留意する必要があります。日照権とは、日当たりを確保する権利のことです。建物が大きい工場の周辺に建物があると、日照権を侵害する可能性があります。周辺環境を考慮して、土地探しをすることも重要です。
工場立地法
工場建設時の生産施設、緑地、環境施設の割合が定められていて、敷地面積全体の2割以上の広さの緑地を設置することが義務づけられています。工場を建設する場合は、緑地を確保できる広い土地が必要です。
工場建設には土地の地目や法律上の規制が大きな影響を与えます。工場を建てるためには、宅地とされる「宅地」の地目を選び、必要な法律や基準を遵守することが重要です。
さらに、工場建設には都市計画法、建築基準法、工場立地法など複数の法律が関与します。これらの法律を遵守しながら、適切な土地を選び、建設計画を進めることが必要です。また、工場建設に関わる関係者全てが法令を順守し、適切な指導や監督を受けることが不可欠です。 工場建設は環境への影響も考慮しながら行われるべき重要なプロセスです。適切な地目の選定と法律の遵守により、工場建設を円滑に進め、周辺環境や社会への貢献を実現することが求められます。