工場のIoTと通信環境~工場建設と通信の密接な関係 | 工場建設パーフェクトガイド
工場建設の情報
工場のIoTと通信環境~工場建設と通信の密接な関係
公開日:2023.11.29 更新日:2023.11.29
工場のIoTと通信環境は密接に結びついており、工場を効率的に運営するためには工場建設時に通信環境を適切に整備することが不可欠です。IoT(Internet of Things)はモノ同士のインターネット通信を指し、工場では設備保全や生産可視化などさまざまな用途で活用されています。IoTが工場運営に果たす役割やその重要性について、こちらで詳しく説明します。
目次
工場のIoT化がもたらす通信環境の不具合
工場を円滑に運営するためには、工場建設時に通信環境を整えるためのネットワーク設計が重要です。工場ではIoT化が進んでいますが、その一方でIoT化による通信環境の不具合が問題になっています。こちらでは、IoTの概要と工場でのIoT化についてご説明いたします。
◇IoTとは?
InternetofThingsの頭文字を取った略語で、読み方はアイオーティーです。モノのインターネット、つまり、モノ同士がインターネットで通信することを意味します。もともとインターネットで接続するものは、IT関連機器に限定されていました。しかし、現在は、スマホ、タブレット、テレビ、デジタルカメラなどがインターネットに接続できるようになり、モノ同士で通信できるようになっています。これが、IoTです。
◇工場ではどのようにしてIoT化されているのか?
工場でのIoT化の実情と、得られるメリットは次のふたつです。
設備保全の効率化
工場の設備にインターネットを接続し、各設備のデータを収集し設備の状態を管理します。広い敷地内を定期的に巡回しデータを収集する必要がなくなり、作業の効率化が図れて設備の保全もしやすくなります。
稼働の可視化
設備をIoT化すると、生産進捗状況やロス時間などを把握できるようになり、稼働の可視化ができます。生産に遅れが生じた場合は迅速に対応ができ、業績アップのための改善策も立てやすくなるでしょう。
◇無線LANは通信が不安定になる
工場をIoT化には、有線LANと無線LANのどちらかを選択することになります。無線LANはコストを安く抑えられる反面、場所によっては電波が届きづらくなり、通信が不安定になるのがデメリットです。無線LANと有線LANの違いについては、次項で詳しく解説いたします。
無線LANと有線LANの違い
無線と有線LANにはそれぞれメリットとデメリットはあるので、それぞれの特徴を理解した上でどちらを採用するか検討することが非常に重要です。
◇無線LANのメリット
LANケーブルを使わずに、電波を使ってネットワークを構築します。主なメリットは次のふたつです。
・費用が安く抑えられる
LANケーブルを使わないため、費用が安く抑えられます。
・見た目がよい
LANケーブルで工場内がごちゃごちゃすることがなく、すっきりとした環境が整えられます。
◇無線LANのデメリット
主なデメリットは、次のふたつです。
・通信が不安定になる
工場の環境は位置によって電波が届かないこともあるため、通信が不安定になりやすいです。
・セキュリティ面で注意が必要
電波が届けばだれでもLAN接続ができるため、不正アクセス、情報漏洩などのリスクが高まります。
◇有線LANのメリット
LANケーブルを使ってネットワークを構築します。主なメリットは、次のふたつです。
・導入しやすい
無線LANは初期設定が必要で、設定がうまくいかなければ、その間業務に支障をきたします。有線LANはLANケーブルで接続するだけなので、有線LANのほうがスムーズに導入できます。
・電波が安定していて安全性が高い
LANケーブルで接続するため、エリアや環境に関係なく電波が常に安定しています。不正アクセス、情報漏洩などのリスクも低いため、安全性が高いのも有線LANのメリットです。
◇有線LANのデメリット
主なデメリットは、次のふたつです。
・範囲が制限させる
作業が可能なのは、有線LANが届く範囲に限られます。
・変更がしづらい
レイアウトチェンジをする際、設備の移動だけでなくLANケーブルの配線も変更しなくてはいけません。導入費用だけでなく、変更にも費用がかかります。
工場内無線LANの通信環境を良くするには?
無線LANの最大の問題は、通信が安定しない点でしょう。こちらでは、工場に設置した無線LANを安定させるための、通信環境を改善する方法をご紹介いたします。
◇無線LANの通信環境を安定させるには?
通信環境は、無線LANはエリアを増設することで安定させることが可能です。無線LANのエリアを増設する方法には、次のようなものがあります。
・屋外にアクセスポイントを設置する
・アクセスポイント同士をつなげる
・リピーター機能付きのアクセスポイントを採用する
もともと、不正アクセスと情報漏洩のリスクが高い無線LANですが、エリアを増設することでリスクがさらに高まるため、増設する際はセキュリティ対策も講じることが重要です。
◇無線LANのエリアを増やす方法
次に、無線LANのエリアを増やす具体的な方法をご紹介いたします。主な方法は、次の3つです。
・ツリー型ネットワーク
従来のネットワーク構造で、新たにアクセスポイントを設置し、LANケーブルを使ってLANスイッチとアクセスポイントをつなげると、エリアを増設できます。LANケーブルの設置が必要なため、費用と時間がかかるのが難点です。
・中継器
中継器を設置し、既存のアクセスポイントを使ってルーターと通信することでもエリアを増設できます。この方法は、LANケーブルが不要なため費用が安く抑えられますが、ルーターに負荷がかかり通信速度が遅くなりやすいため注意が必要です。
・メッシュネットワーク
アクセスポイントに該当する複数のサテライトが接続しあって、ネットワークを構築します。LANスイッチからアクセスポイントまでのLANケーブルを使わないため、サテライトを設置するだけで、エリアを増設することが可能です。
工場のIoT化は効率的な運営を実現しますが、通信環境に不具合が生じることがあります。IoTはモノ同士のインターネット通信を指し、工場では設備保全や生産可視化などに利用されています。
通信手段として無線LANと有線LANが選択肢となり、無線LANはコスト面で優れますが、通信の不安定さやセキュリティリスクが懸念されます。有線LANは通信が安定しており、セキュリティも高いが、導入や変更が難しい一面もあります。
無線LANの通信不安定さを改善するためには、エリアを増設し、屋外設置や中継器、メッシュネットワークを活用する方法があります。しかし、セキュリティ対策も同時に考慮する必要があります。工場のIoT化に際して、通信環境の選択と改善策の検討が不可欠です。