これからの工場建設は省エネ!工場建設により引き起こされる環境問題とは? | 工場建設パーフェクトガイド
工場建設の情報
これからの工場建設は省エネ!工場建設により引き起こされる環境問題とは?
公開日:2023.09.30 更新日:2023.09.30
工場から排出されるガス、工業廃水などを想像すると環境に対して悪影響を及ぼすことが容易に想像できるでしょう。
SDGsの目標制定とともに、工場が引き起こすであろう環境問題、環境への影響を配慮することは、もはや社会的責任とも言えるまでになりました。
これからの工場建設には、省エネ化と環境対策が必要になっています。
工場で生産する商材によって、注意しなければならない内容は異なりますが、省エネを意識した工場建設と、排出されるガス、工業廃水、廃棄物などの処理方法は考えておくべき内容です。
目次
工場により引き起こされる環境問題とは?
工場により引き起こされる環境問題に向き合うことは、企業における社会的責任ともいえるようになってきました。
地球環境の改善に向けて、環境対策が取り沙汰されている中で、工場により引き起こされる環境問題は何があるのでしょうか?
水質汚染問題
水質汚染問題は、工場から排出される排水が原因で生まれる環境問題のひとつです。
日本における代表例としては、メチル水銀化合物を含む工場排水を水俣湾に排水した結果、周辺で水俣病が発生してしまった事件が有名です。
排水処理機能の向上などによって水質汚染問題は減りつつありますが、工場が向き合う環境問題としてはいまだに残り続けています。
大気汚染問題
大気汚染問題も、工場が抱える環境問題のひとつ。
日本における代表例は四日市ぜんそくです。亜硫酸ガスが工場から排出される煙に含まれており、周辺住民の多くがぜんそくを発症してしまいました。
現在では、VOC(有機化合物)が含まれる塗料やインク溶剤による光化学スモッグも大きな問題になっています。
大気汚染が進んだ中国では、数m先が見えないほど視界が悪くなったりしています。
廃棄物の処理
工場の稼働における廃棄物は、排水、排ガスだけでなく、製造過程からも多くが発生します。
廃棄物としては、廃油、ダンボール、鉄くずなどのさまざまな種類があり、これらを処理するためにエネルギーや環境資源が使われているのが現状です。
リサイクルや廃棄物を減らすようにすることが工場には求められています。
天然資源の枯渇
石油、石炭、水、天然ガスなどの資源を製造や工場の維持管理に使っています。
工場に限った話ではありませんが、天然資源には限りがあります。
使う資源の量を節約する、省エネ化するなどして、天然資源の使用量も工場が向き合うべき環境問題のひとつです。
環境保全が注目される現代において、これらの工場により引き起こされる環境問題に対して、どのように対策していくかが重要になっています。
工場が取るべき環境対策!すぐに出来る対策も
工場で環境対策をする場合、環境問題の原因となっている要因の除去や、極力排出しないように部材を調整する等の対策が可能です。
工場が取るべき環境対策
省エネ化する
天然資源の枯渇が噂されている現代では、工場の省エネ化の必要性があります。
天然資源だけに限らず、照明や空調設備に使われる電気の製造にも二酸化炭素の排出がセットです。
エネルギー消費を減らすことが喫緊の課題といえるでしょう。
・照明を節約するために、工場にトップライトを採用して自然光で採光する
-エネルギー消費と電気代の節約に繋がります。トップライトの採用は工事が必要なため、必要な照明をLEDに変更するなどで対策もできます。
・断熱性能の高い素材に変更し、空調効率を改善する
-冷暖房の使用によるエネルギー消費も問題となっています。特に、工場は温度管理が大事であったり、広い範囲の空調を調整するには多大な電力を消費します。
しかしながら、建物自体の断熱性能が低い場合、日中の太陽光で温められてしまったり、外気温の影響も受けたりして、結果として、消費量増加につながってしまいます。
・省エネ化機械を導入することで、製造工程における消費エネルギー量の低減も選択肢のひとつです。
万が一の事故に備えた対策
化学物質を取り扱っている工場では、万が一の事故に備えた対策も必要です。
工場建設時に、環境への影響がある廃水などの対策はしていても、万が一の事故で漏れ出てしまった場合、どのように対策するかを事前に検討しておきましょう。
不慮の事故だとしても、責任は工場に生まれてしまいます。
事前に対策を検討し、迅速に対処することで環境への影響を限りなく少なくしましょう。
すぐに出来る省エネ・環境対策
工場全体の省エネ化には、多くのコストと時間がかかるため、気軽に対策はできません。
要因の除去と並行し、すぐに出来る環境対策を実践するようにしましょう。
小さなことは一歩から、です。
・空調設備をこまめに切る、メンテナンスをする
ー 空調設備の使用は、多くのエネルギーを消費します。特に、夜間の工場が動いていない時間帯や人の出入りが少ない場所などで稼働し続けると無駄が発生してしまいます。
不要な時間帯は消す、つけない等を意識するだけで省エネ効果を望めます。
また、空調設備のメンテナンスもこまめにしましょう。
工場内で舞い散る埃、塵は想像しているより多いことがほとんどです。空調設備のフィルターが詰まっているまま使い続けていると、空調効率の低下に繋がり、余計なエネルギー消費や電気代の高騰につながります。
ひどい場合は、メンテナンスを怠ったことが原因で故障する可能性もあります。
そうなると、修理費用、廃棄費用でさらなるコストがかかってしまうことでしょう。
工場建設でSDGsを実現!省エネ対策
SDGsの目標は複数ありますが、工場建設において最も実現可能な目標は環境への影響でしょう。工場建設でSDGsを実現するためには、建設時、改修時に省エネ対策を検討する必要があります。
再生可能エネルギーを導入する
再生可能エネルギーの導入も環境対策のひとつです。
使用するエネルギーを再生可能エネルギーで代用できるため、天然資源の使用量低下に貢献可能であり、電気代の節約にも繋がるメリットがあります。
水の無駄遣いをさける
何気なく使っている水も貴重な資源のひとつです。
無駄遣いをしないよう意識づけてみましょう。
例えば、工場の製造工程で発生した排水や使用済みの水道水をあつめ、適切に処理してから再利用することで、工場内全体での水の消費量を減らせます。
再利用のための処理設備の導入には一定のコストがかかりますが、最終的な水道料金の削減にも繋がるため、一度検討してみてください。
廃棄物のリサイクル
工場では製造工程において様々な廃棄物が発生します。
廃棄物を分別しリサイクルする。工程を変更して廃棄物を減らす等して環境対策を心がけましょう。廃棄物の処理にもエネルギーを使用するため、可能な限り減らす・再利用することが環境対策に繋がります。
工場建設時や工場の稼働によって生まれる廃棄物は、少なからず環境への影響があります。過去、日本においても水質汚染や大気汚染が原因で問題が生じました。これらの対策を講じることは、社会的責任として必要なもと認知されてきています。
また、汚染対策だけでなく、省エネにも取り組むことでSDGsの目標達成、地球環境への貢献も検討しましょう。
イニシャルコストはかかりますが、電気代の削減や廃棄部材の削減によって十分回収できると考えられます。
新規の工場建設や既存の工場を改修を計画している場合、自社で出来る省エネ対策、環境への対策がないかを考え実行していきましょう。
結果として、企業のイメージアップに繋がる可能性もあります。