工場建設に関わる補助金を全て紹介します | 工場建設パーフェクトガイド
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工場建設に関わる補助金を全て紹介します
公開日:2023.08.27 更新日:2023.08.31
工場建設の際は多くの経費がかかりますが、その負担を軽減する方法として補助金制度の利用があります。補助金制度は、国が実施するものから、各地方自治体が独自に行うものまでさまざまです。
補助金制度を最大限に活用できれば、財政的な負担を軽減しつつ、新たな工場建設をスムーズに進めていくことができます。しかし補助金を受けるためには、対象者・対象設備・上限額など支給要件ついて詳しく理解しておく必要があります。
目次
工場建築で使用できる代表的な補助金
工場建設の推進は、製造業を営む企業にとって収益拡大や持続的成長という点で重要な要素です。しかし、新たな工場建設や設備の拡張には莫大な費用がかかることがあります。また近年はコロナウイルスの流行もあり、工場の運用が資金面で苦しくなっている企業も多く見られます。
こうした課題を軽減する手段として、国はさまざまな補助金制度を実施しています。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、中小企業庁によって提供される支援制度のひとつです。この制度は、主に中小企業が新たな事業への挑戦、業種の転換、事業の再構築など行う際、その取り組みを経済的に支援することを目的としています。
支給対象者と支給条件
日本国内に拠点を持つ中小企業経営者、コロナウイルスの影響で業績が悪化した中小企業などが対象となります。この制度が適用されるためには、次の条件を満たす必要があります。
1.コロナなどの影響で売上が減少している
2.事業の大幅な変革、再構築を予定している
3.認定経営革新等支援機関と協力して具体的な事業計画を練ること
支給対象経費
建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、運搬費、外注費、広告宣伝費、販売促進費、クラウドサービス利用費、研修費など。
支給上限額/交付率(中小企業者等~中堅企業等)
[成長枠] 100 万円~7,000 万円 / 交付率: 1/2~2/3
[産業構造転換枠] 同上
[グリーン成長枠] 100 万円~1.5億円 / 交付率: 1/3~1/2
[大規模賃金引上促進枠] 100 万円~3,000万円 / 交付率: 1/2~2/3
[最低賃金枠] 100 万円~1,500万円 / 交付率: 2/3~3/4
[物価高騰対策・回復再生応援枠] 100 万円~3,000 万円 / 交付率: 2/3~1/2
HACCP補助金
HACCP補助金(食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業)」とは、農林水産省が行う支援制度のひとつです。この支援制度は、食品の輸出拡大を目指す企業が、国際的な安全基準を満たす工場や設備を導入する際の財政的負担を軽減することを目的としています。
支給対象者と支給条件
食品関係業者全般(製造事業者、流通事業者、中間加工事業者など)で、以下の条件を満たすものが対象となります。
1.法人
2.地方公共団体
3.都道府県の審査によって当事業に相応しいと認定された者
支給対象経費
施設の新設(増設)費、機器の整備費、HACCPの認証取得にかかるコンサルティング費用、人材育成のための研修費など。
支給上限額/交付率
【令和4年度】250万円~5億円 / 交付率: 3/10~1/2
【令和5年度】500万円~3億円 / 交付率: 3/10~1/2
サプライチェーン対策補助金
サプライチェーン対策補助金は、経済産業省が実施する補助金制度のひとつです。この制度は、主にコロナの流行によってサプライチェーンが弱体化した企業に対して、新たな工場建設や設備の整備に伴う経費を支援することを目的としています。
支給対象者と支給条件
工場などの製造業に必要となる施設を有している企業。支給条件は、補助対象となる事業ごとに詳しく設定されています。
支給対象経費
製造業の運用に必要となる施設(工場など)の建設にかかる費用、各施設で必要となる設備機器の新たな設置や整備のための費用
支給上限額/交付率
【⽣産拠点の集中度が⾼い製品・部素材(A類型)】~100億円 / 交付率: 1/4~2/3以内
【国⺠が健. 康な⽣活を営む上で重要な製品・部素材(B類型)】~100億円 / 交付率: 1/4~2/3以内
【中小企業特例事業】~5億円 / 交付率: 2/3以内
その他の補助金制度
上述したもの以外にも、以下のような補助金制度があります。
・省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
・脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業
地方自治体によっては、地域経済の活性化や雇用の創出を推進するため、新たに工場建設を行う企業に対する補助金制度を実施しています。補助金の対象者や対象条件、補助限度額は、各自治体が実施している補助金制度ごとに異なります。
千葉県の例
千葉県では、各市町村における雇用の確保や地域経済の発展を目的として、千葉県内で工場建設などを行う企業に対して、融資や助成金の交付を講じています。
企業立地促進資金(県内に工場等を設置する企業への融資)
千葉県立地企業補助金の認定を受けた企業に対して、設備資金および運転資金を融資する制度です。融資限度額は、設備資金は20億円以内(融資対象経費の90%以内)、運転資金は3000万円以内となります。
千葉県立地企業補助金(進出企業および市町村に対する県の助成)
平成26年4月1日以降に用地を取得・賃借した企業が、工場などの施設の建設する場合に助成金を交付する制度です。令和6年3月31日までに立地計画を提出して、認定を受けた企業が助成金の対象となります。
補助限度額は、大規模投資企業立地(70億円)、本社立地(10億円)、研究所立地(70億円)、工場建設(10億円)などとなります。
長野県の例
長野県では、長野県内に新たに工場建設・研究所建設などを行う企業に対して、建設費用の一部を助成する制度を実施しています。
長野県産業投資応援助成金
製造業、自然科学研究所、倉庫業を営む企業で、長野県に新たに工場などを建設する場合に助成金を交付する制度です。主な助成要件は「一定額以上の投資」「一定数以上の雇用」「SDGsや温暖化対策関係の認証取得等」「ISO140001 or エコアクション21の取得」です。
助成限度額は10億円(建物・設備等の取得費用の最大21%)となります。
脱炭素や省エネの取り組みに応じて出る補助金
脱炭素や省エネに積極的に取り組んでいる企業に対して、補助金が支給される制度もあります。これらの制度は、企業が環境に配慮した取り組みを行う際に財政的な支援を提供することを目的としています。
SHIFT事業
SHIFT事業(工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業)は、環境省が実施している補助金制度のひとつです。この制度は、企業のCO2削減への取り組みや、それに伴う設備の新設・更新などを支援し、脱炭素化を推進することを目的として実施されています。
対象事業者
民間事業者・団体
支給上限額/交付率
【CO2削減計画「策定支援」】100万円 / 補助率: 3/4
【省CO2型「設備更新支援」A.標準事業】1億円 / 補助率: 1/3
【省CO2型「設備更新支援」B.大規模電化・燃料転換事業】5億円 / 補助率: 1/3
【省CO2型「設備更新支援」C.中小企業事業】5000万円 / 補助率: 1/3
先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金
経済産業省が実施している補助金制度のひとつです。エネルギー消費効率の高い工場の設備に対して補助金が支給されます。この制度では、事業区分が「先進型事業」「オーダーメイド型事業」「指定設備導入事業」「エネルギー需要最適化対策事業」の4つに分かれています。
対象事業者
民間事業者・団体
支給上限額/交付率(中小企業者等~大企業)
15億円(非化石転換設備の場合は20億円)/ 補助率: 2/3~1/2
生産性向上特別措置法における固定資産税特例
工場新設の際、太陽光発電を導入する企業は、一定の条件を満たすことで税制優遇措置を受けることができます。
生産性向上特別措置法における固定資産税特例を活用すれば、工場の新設およびその工場に自家消費型太陽光発電設備(300万円以上)を導入した場合、3年間は工場や太陽光発電設備に発生する固定資産税をゼロまたは1/2に軽減できます。
対象事業者
中小企業・小規模事業者
支給要件
1. 新設の工場であること
2. 生産性向上要件を満たす整備が設置されていること
3. 設置される太陽光発電設備の取得価額が300万円以上であること
工場建設の際に活用できる補助金制度は、「事業再構築補助金」「HACCP補助金」「二酸化炭素排出抑制対策 事業費等補助金」などさまざまなものがあります。また地方自治体で独自の補助金制度を実施している場合もあります。
工場建設においてこれらの補助金制度を活用することは、財政的な負担を軽減する手段として有効です。特に大規模な工場建設の場合は多額の資金が必要となるため、補助金制度を賢く活用して、事業計画の実現性を高めることが重要です。
補助金の申請手続きや支給要件は複雑であるため、補助金の利用の際は工場建設業者に相談するのもひとつの方法です。補助金利用のサポートをしてくれる建設業者であれば、要件を満たす工場の設計や施工、さらに申請手続きに関するアドバイスを得られるため、よりスムーズな工場建設の遂行が期待できます。