食品工場を建設する際のポイントを解説 | 工場建設パーフェクトガイド
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食品工場を建設する際のポイントを解説
公開日:2023.06.16 更新日:2023.06.16
一般的な工場の建設でも安全な動線を確保して設計しますが、特に食品工場などのクリーンな環境が求められる工場では、ゾーニングを行って衛生管理がしやすい動線を確保しなければなりません。食品工場にふさわしい土地選びから動線計画、衛生管理対策まで、食品工場を建設する際におさえておきたいポイントについてご紹介します。
目次
食品工場の土地を選ぶ際に注意すべきポイント
食品工場を建設する際には、以下の3つのポイントをチェックする必要があります: 害獣・害虫、環境汚染、排水の停滞です。
1. 害獣・害虫
食品工場では、害獣や害虫が食品を汚染したり、衛生問題を引き起こす可能性があります。飲食店の周辺や害獣・害虫の繁殖が多い地域は避けるべきです。これにより、害獣・害虫の侵入を最小限に抑えることができます。
2. 環境汚染
工場周辺の地域が煙や粉塵が舞いやすい場所である場合、工場内の空気を清浄に保つための設備コストが高まる可能性があります。周辺に排出物を発生させる施設が存在しなくても、風向きによって粉塵が運ばれやすい地域もあるため、慎重に注意が必要です。
3. 排水の停滞
食品工場では、水を使用して器具や容器の洗浄・消毒を行います。排水が停滞してしまうと、害虫の発生や細菌の繁殖のリスクが高まります。工場を建設する土地を選ぶだけでなく、設計段階でも排水の流れや高低差を慎重に確認し、適切な対策を講じることが重要です。
これらのポイントを注意深く確認し、食品工場の建設場所と設計を選択することで、衛生管理や品質保持において最適な環境を確保することができます。また、専門家や関連当局の助言を受けることも重要です。
動線計画も重要
食品工場の衛生管理において、ゾーニングと呼ばれる動線管理が重要です。ゾーニングでは、工場内の動線を汚染区域と清潔区域に分け、異物の侵入や混入を防ぐために交差しないようにします。特に食品製造工程の最終段階では、汚染の流入や混入を防ぐために厳格に管理されます。
ゾーニングを確実に行うためには、動線計画が必要です。動線計画では、作業の流れを考慮し、汚染区域と清潔区域の動線が重ならないように工場の配置を検討します。搬入口から原料保管庫までの動線や、従業員の着替えから作業工程への動線など、人や物の動きを詳細に想定して計画を立てます。また、動線によって空気の流れも生じるため、吸排気や陽圧管理なども考慮する必要があります。
従業員の清潔区域への入退場計画では、靴の履き替えローラ掛け、手洗い・消毒、エアシャワーの順で動線を配置し、再汚染を防ぐために手を触れなくても通過できる仕組みを設けます。また、清潔準備室と呼ばれるサニテーション施設を設置することで、外部からの汚染の持ち込みを効果的に除去できます。清潔区域の空調には高性能フィルターを設置することも重要です。
入出荷口から材料保管庫までや、製品倉庫から製品出荷室まででは、ドックシェルターやエアカーテンの設置が有効です。ドックシェルターはトラックが入った際に隙間を埋めて屋外からの異物の侵入を防ぎます。エアカーテンは空気の流れを作り、虫や粉塵などを捕獲する役割を果たします。
衛生管理対策も大切
食品工場の衛生管理対策において、湿気と外気の取り込み、工場内の埃に注意する必要があります。
特に屋外と工場内の接点である窓については注意が必要です。基本的に食品工場では、法令で定められている排煙窓以外には窓を設置しないようにすることが望ましいです。窓があると外部からの粉塵や虫の侵入だけでなく、外部との温度差による結露が生じる可能性があります。結露はカビの発生を引き起こす原因となり、カビの胞子が空気中に飛び散ると衛生上の問題となりますので注意が必要です。
排水に関しては、床をぬらさないように直接排水溝に流れ込むドライ仕様にすることが重要です。排水溝の蓋は錆びにくい素材を使用し、取り外して排水溝を掃除しやすい形状にすることも効果的です。排水溝からの害獣や害虫の侵入を防ぐためには、トラップ着脱式の桝を設置することで臭気の逆流も防止できます。
床に関しては、隙間のない掃除しやすい床が最適です。床と壁の境目は角にならないように丸みをつけて処理することで、埃が溜まりにくくなります。壁からの配管や電源の取り込み部分は、設置後にコーキングで隙間をしっかり塞ぐようにします。
天井も、ダクトや配管が露出していると埃が溜まりやすくなるため、天井裏に設置するようにします。排気のためのフードも形状によっては埃の溜まりやすさに影響するため、垂直で埃が溜まりにくい形状のものを選ぶことが望ましいです。床、壁、天井の素材には、でこぼこのない滑らかで埃がつきにくい素材を使用することが重要です。
食品工場を建設する際には、以下の3つのポイントをチェックして土地を選びます:害獣・害虫、環境汚染、排水の流れ。さらに、衛生管理を重視するためには、設計段階からゾーニングを意識し、衛生管理が容易な動線計画を策定する必要があります。また、結露や外気の取り込みを最小限に抑え、埃の溜まりにくい工場内構造を設計することも重要です。これらの取り組みにより、衛生管理が容易な食品工場を実現することができます。