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BTS型倉庫とは?他タイプとの違いを解説 | 工場建設パーフェクトガイド

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BTS型倉庫とは?他タイプとの違いを解説

公開日:2024.11.21 更新日:2024.11.21

BTS型倉庫とは、テナントの要望に合わせて設計・建設されるオーダーメイドの倉庫のことです。食品や医薬品の保管に特化した施設など、利用者のニーズに最適化できる点が大きなメリットであり、物流効率の向上やコスト削減に寄与します。しかし、初期費用が高額で維持費もかさむ点や、賃貸契約が多いなどの点はデメリットと言えます。

自社倉庫の運用は、初期費用がかかるものの、長期的にはコスト削減につながる可能性があります。テナント倉庫の賃料や更新費用を避けられ、効率的な運営体制が構築できるため、物流効率の向上と無駄の削減が期待できます。さらに、自社倉庫の保有は企業の資金力や安定性の証明となり、取引先や顧客からの信頼が高まり、新たなビジネスチャンスの獲得にも寄与します。

BTS型倉庫とは

倉庫にはさまざまな種類がありますが、その中でも「BTS型倉庫」という特別なタイプをご存じでしょうか。BTS型倉庫は近年、倉庫建設において注目を集めています。ここでは、他の一般的な倉庫と比べて、どのようなメリットやデメリットがあるのか、詳しく解説していきます。

◇BTS型倉庫とは

BTS型倉庫とは「Build to Suit」の略で、注文住宅のようにテナントの要望を反映して設計・建築する倉庫のことです。土地の選定から、倉庫のレイアウト、設備、予算まで、発注者のニーズに合わせてオーダーメイドで建設されます。

例えば、食品会社向けの冷凍倉庫や、医薬品の保管に適した高い管理基準の倉庫など、特定の用途に特化した設計が可能です。ただし、BTS型倉庫はあくまで貸倉庫であり、基本的には賃貸契約となる点に注意が必要です。

BTS型倉庫における最大のメリットは、テナントの事業や製品に最適化された倉庫を利用できる点です。オーダーメイドで設計することで、生産効率や物流効率を高め、無駄を削減できるため、最終的にはコストダウンに繋がります。

一方で、デメリットとしては初期費用が高額になりがちな点が挙げられます。ゼロから設計するため、一般的なテナント倉庫に比べて建設費用が高く、維持費もかさみやすいのです。そのため、初期費用と維持費のトータルコストを慎重に評価する必要があります。また、完成した倉庫は賃貸契約で利用するケースが多く、自社の資産になりません。

◇BTS型倉庫が適している業界

近年、配送技術の進歩により、食品や医薬品、化学薬品などの温度管理が重要な製品の配送が可能になっています。現在では、冷凍・冷蔵・定温の3つの温度帯での配送が実現されています。従来の冷凍・冷蔵配送に加え、一定温度を保つ「定温配送」のニーズも高まっています。それぞれの配送方法の特徴は以下のとおりです。

冷凍配送

-15℃以下の温度で配送。冷凍車を使用し、温度を一定に保つことで品質を維持します。

冷蔵配送

-5~10℃の温度帯で配送。食品の鮮度を保つため、温度管理が重要です。低温すぎたり、温度変化が激しいと品質に影響を与える可能性があります。

定温配送

荷物に適した温度を保ちながら配送します。外気温の影響を受けにくく、食品、飲料、薬品、精密機械などの配送に利用されています。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、冷凍・冷蔵食品の需要が急増しました。それに応じて、冷凍・冷蔵倉庫の開発も進んでいます。ひとつの倉庫で多様なニーズに対応するのは難しいのが現状です。そのため、冷凍・冷蔵商品を扱う企業は、自社倉庫の運用か、専用のBTS型倉庫を借りるという選択肢が一般的となっています。

BTS型倉庫の懸念点

懸念点

画像出典:フォトAC

業界で注目を集めているBTS型倉庫ですが、決してメリットばかりではありません。企業のニーズに合わせたオーダーメイド設計が魅力のBTS型倉庫ですが、建設時にはいくつかの懸念点が存在します。ここでは、BTS型倉庫を検討する上で注意しておくべき主な懸念点について詳しく解説していきます。

◇費用がかかる

BTS型倉庫の懸念点のひとつは、通常の倉庫よりも費用がかかることです。まず、初期費用が高額になることが挙げられます。BTS型倉庫はゼロから建設するため、莫大な初期投資が必要になることもあります。そのため、初期費用を抑えて倉庫運営をしたいと考える企業にとっては、BTS型倉庫の建設が大きなハードルになることがあります。

また、維持費の高さも問題となりがちです。これはBTS型倉庫がオーダーメイド設計であり、企業のニーズに合わせた特殊な設備が多く導入されるため、維持費は従来の倉庫よりも高まる傾向にあるからです。そのため、BTS型倉庫を利用する企業は、資本金の多い大手企業が中心となっています。

このことからも、資本金が少ない企業にとっては利用が難しい場合があると言えるでしょう。BTS型倉庫を検討する際は、維持費を含めた費用対効果を十分に考慮することが重要です。

◇契約期間が長い

BTS型倉庫を利用する場合、長期間の契約が求められる点に注意が必要です。一般的に契約期間は最低でも10年以上とされており、これは通常のテナント型倉庫と比べても倍以上の長さです。そのため、短期間の利用を希望する企業にとっては、BTS型倉庫は選択肢として不向きといえるでしょう。

一方、大手企業では、自社のニーズに合わせた設計が可能なBTS型倉庫をアウトソーシングするケースが多くみられます。長期契約の利点として、企業専用の設備やレイアウトが整備できることが挙げられますが、契約期間の長さが事業計画においてリスクとなることもあります。

市場の変化や事業の方向転換が必要になった場合、契約途中での解約や倉庫の変更が難しいため、長期的なビジネス計画が必要となる点がデメリットです。短期間での利用や柔軟な契約を希望する場合は、別の倉庫形態を検討した方がよいでしょう。

運用しやすい倉庫の種類

倉庫にはさまざまな種類があり、そのタイプによって運用のしやすさが異なります。一度建てた倉庫は長期的に使用するため、運用がしにくい設計だと建て替えるまで不便さが続きます。さらに、建て替えには多額の費用がかかり、すぐに実行できるわけではありません。ここでは、運用のしやすい倉庫を選ぶためのポイントについて解説します。

◇自社倉庫を建設

自社倉庫の運用は、長期的な視点で見ると非常に有効な選択肢といえます。確かに建設時には多額の初期費用が必要ですが、事業が安定して継続できる見込みがある場合、長期的にはトータルコストを抑えることができる可能性があります。

テナント倉庫を借りる場合は、賃料や更新費用が発生し続けるため、一定の期間が経つと、自社倉庫を所有する方がコスト面で有利になることもあります。

さらに、展開しようとする事業の見通しが明るい場合、自社倉庫のほうが効率的な運営や生産体制を構築しやすいです。設備やレイアウトを自由に設計できるため、商品の流通や生産工程が最適化され、無駄を削減することができます。これにより、物流効率が向上し、結果としてコストダウンにもつながります。

また、自社倉庫を保有することは、企業の資金力や安定性の証明となり、信頼性の向上にも寄与します。資金力があることを示すことで、取引先や顧客からの信頼が高まり、新たなビジネスチャンスにもつながりやすくなります。

◇マルチテナント型倉庫を活用

マルチテナント型物流施設とは、複数のテナントが1棟の倉庫を共有する賃貸型の物流倉庫です。一般的に「物流倉庫」と聞くと、商品の在庫を保管する場所というイメージが強いかもしれません。

しかし、1990年代以降、倉庫内には特殊機器が導入されるようになり、商品の製造や加工を行うケースが増えてきました。そのため、商品の完成後にはそのまま消費者に配送でき、効率的なシステムが実現されています。
 
マルチテナント型物流施設のメリットとして、以下の点が挙げられます。

コスト削減

マルチテナント型の施設では、既存の設備を他のテナントと共有できるため、無駄な費用が発生せず、コストカットにつながります。これにより、設備の導入やメンテナンスの負担を軽減できます。

利便性の高い施設

大型の物流施設では、コンビニやレストラン、カフェなどの商業施設が併設されていることが多く、従業員が施設内で手軽に買い物や食事ができます。また、託児所や緑地空間が設けられている場合もあり、一般的な倉庫と比べて、働きやすい環境が整っています。

これにより、アルバイトやパートタイマーにとっても魅力的な職場となり、人材の確保や定着率の向上にも寄与します。

自社倉庫建設で運用コストを軽減した事例

これまで、自社倉庫を運用することで運用コストの削減が可能であることについて解説してきましたが、実際にはどのような具体的な事例があるのでしょうか。自社倉庫を活用する企業では、さまざまな方法でコスト削減を実現しています。ここでは、実際の事例をいくつか取り上げ、その効果や方法について詳しくご紹介します。

◇自動倉庫を建設した事例

発酵食品や飲料を製造・販売する企業の事例では、自動倉庫の導入により、保管量の増加だけでなく、荷物の一元管理が可能となりました。この一元管理を実現したことで、在庫管理や入出庫管理、さらには品質管理の工数を削減することに成功しています。

導入前、この企業は外部倉庫を使用していましたが、保管コストや保管品質の維持に多くの工数がかかり、これが大きな課題となっていました。また、業績が順調で在庫量が増加していたこともあり、在庫管理や品質管理の効率化が急務となっていました。この状況を解決するため、自動倉庫の導入が検討されました。

自動倉庫の導入後は、さらに在庫管理システムを取り入れ、外部倉庫の使用コスト削減や、在庫管理の一元化による商品品質の向上を実現しました。データを活用することで、在庫管理や入出庫管理の精度が向上し、棚卸業務の工数を大幅に削減できました。

◇倉庫を拡充した事例

建設用・産業用締結材のメーカーの事例では、もともとあった倉庫を移設して拡充し、西日本の拠点として新たにスタートしました。

導入前、この企業の物流拠点は関東圏の数ヶ所に分散しており、さらに、全国の営業所が個別に在庫を持っていたため、コストの上昇や不良在庫の増加が課題となっていました。

導入後、既存の倉庫を移設して拡充し、西日本の拠点として活用することで、東日本の拠点も1ヶ所に集約できました。さらに、全国の営業所で保有していた在庫を縮小し、本社倉庫からの直送を最大限に活用することで、営業効率の向上を実現しました。この取り組みによって、年間約1億円の配送コスト削減に成功しました。


BTS型倉庫は「Build to Suit」の略称で、テナントの要望に応じてゼロから設計・建設されるオーダーメイド型の倉庫です。通常の倉庫とは異なり、利用者の業態や製品の特性に合わせて、最適なレイアウトや設備を整えることができる点が大きな魅力です。

例えば、食品会社向けには冷凍・冷蔵設備が充実した倉庫や、医薬品保管に特化した高い管理基準を満たす施設など、専門的なニーズに応じた設計が可能です。

一方で、BTS型倉庫にはデメリットも存在します。まず、ゼロから設計・建設するため、初期費用が通常の倉庫よりも高額になる傾向があります。また、オーダーメイド設計ゆえに特別な設備が導入されることが多く、その分維持費もかさみやすくなります。

さらに、ほとんどの場合は賃貸契約となり、契約期間が10年以上と長期にわたることが一般的です。これにより、柔軟な契約や短期利用を希望する企業にとってはハードルが高く、リスク要因となり得ます。

自社倉庫の運用は、初期投資は高額ですが、長期的な視点ではコスト削減の効果が期待できます。テナント倉庫では賃料や更新費用がかかり続けますが、自社倉庫を所有することでこれらの支出を抑えられます。

また、設備やレイアウトを自由に設計できるため、効率的な物流や生産体制の構築が可能となり、結果的に無駄を減らし、物流効率の向上が図れます。さらに、資金力の証明にもなり、企業の信頼性が高まることで、取引先からの評価向上や新たなビジネス機会の創出につながります。

初期投資や維持コストを抑えたい企業にとっては、マルチテナント型倉庫や自社倉庫の選択肢も依然として有力です。マルチテナント型倉庫は、複数の企業が設備を共有することで、初期費用を抑え、柔軟な運用が可能です。

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