倉庫建設の坪単価はどれくらい?費用を抑えるポイントも解説 | 工場建設パーフェクトガイド
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倉庫建設の坪単価はどれくらい?費用を抑えるポイントも解説
公開日:2024.11.19 更新日:2024.11.20
「e-Stat」の「建築着工統計調査 建築物着工統計」をもとに計算すると、2023年の倉庫建設における坪単価は、約53.9万円でした。倉庫建設における新規着工面積が減少傾向にあります。工期短縮や標準化を図る「システム建築」や、設計と施工を一括で依頼する「設計施工一括方式」が有効です。
ファクトリアは、工場建設において「デザイン・機能・コスト」のバランスを重視し、効率的かつ快適な作業環境の提供を目指しています。設備や動線計画などの最適化に加え、スタッフのモチベーションを高める設計が強みです。
横河システムは標準化された部材や独自の軽量化技術を活用し、コスト削減と工期短縮を実現する施工会社です。日本唯一の「システム建築専用工場」を所有し、主要部材の自社生産により品質の一貫性を確保しています。
目次
倉庫建設における坪単価の動向
倉庫建設のコストを考える際、目安のひとつに「坪単価」が挙げられます。倉庫建設における坪単価はどのくらいなのでしょうか。ここでは、近年の坪単価の動向について解説します。
◇倉庫の坪単価平均
政府統計の総合窓口「e-Stat」の「建築着工統計調査 建築物着工統計」によると、2023年における国内倉庫の総床面積は12,479,371㎡、倉庫建設の工事費予定額は203,736,040万円でした。この面積を「坪」に換算すると、より具体的なコストを把握できます。
1坪は約3.3㎡で換算されるため、次のような計算で総坪数を求めることが可能です。
倉庫の総坪数=12,479,371㎡(倉庫の総床面積)÷3.3
=約3,781,627.5坪
この総坪数をもとに、倉庫建設の工事費予定額を試算してみましょう。先に挙げた工事費予定額を用いると、1坪あたりの工事費用は次のとおりです。
1坪あたりの工事費用=203,736,040万円(工事費予定額)÷約3,781,627.5坪
=約53.9万円
この結果から、倉庫を建設する際の坪単価平均は、約53.9万円と見込まれます。坪単価は、土地の立地や建設資材の価格、施工の難易度などによって変動することがありますが、この数値は一般的な目安として参考になるでしょう。
◇工事費予定額は高騰傾向
近年、倉庫の新規着工床面積は2年連続で減少しています。この状況だけを見ると、倉庫の着工床面積の減少により、物流施設市場が一時的に冷え込んでいるように見えるかもしれません。
新規着工床面積が減少している背景には、EC市場の急拡大によって進んでいた大規模物流施設の開発が一巡し、需要が落ち着いたことがあります。さらに、工事費の急騰や都心部の好立地の不足により、開発が難しくなり、中小規模の地方拠点へのシフトが進んでいるのも要因のひとつです。
特に「2024年問題」の影響で、運輸業界では小口配送や中継拠点のニーズが高まっており、宿泊機能を備えた中小型施設の開発が増加しています。
しかし、物流専業デベロッパーの幹部は、EC市場の緩やかな拡大や老朽化した施設の更新需要が引き続き安定していると予想しています。今後、工事費の上昇や立地の競争が落ち着けば、物流施設市場は再び安定した成長が見込めるでしょう。
倉庫建設の費用内訳
倉庫の建設は、住宅建設に比べて規模が大きく、作業工程や必要な設備も大きく異なります。例えば、倉庫では大量の荷物を効率的に保管・管理するために、高い天井や広い床面積が求められ、耐久性の高い構造が必要です。
こうした倉庫建設にかかる費用はどのような内訳になるのでしょうか。ここでは、具体的な費用項目について解説します。
◇倉庫建設の内訳と各割合
物流倉庫と一言でいっても、いくつかの種類があります。代表的なものは以下の3つです。
テナント型物流倉庫
テナントに貸し出して運用するための倉庫です。シンプルな平面設計が多く、一般的な設備のみを備えているため、他の倉庫に比べて建設費が安く抑えられます。特定の仕様を盛り込まないため、追加費用が発生しにくいのが特徴です。
自社物流倉庫
事業者が自社で使用する倉庫で、商品を保管し、発送までの業務を行います。自社の運用に合わせた設計が可能なため、自由度が高い反面、設計内容によって建築費用に幅が出ます。シンプルな設計ならコストを抑えられますが、独自の仕様や設備を追加すると費用が高くなる場合があります。
工場併設型物流倉庫
物流倉庫と工場を一体化させ、製造から出荷までの対応を一括して行える倉庫です。生産する商品に応じて設計や設備が異なるため、費用の見積もりが難しいですが、工場部分の追加によりコストは他の倉庫よりも高くなります。また、クリーンルームなど特別な設備が必要な場合、追加費用がかかることも多いです。
◇確認申請費用なども必要
物流倉庫を建築する際には、設計費や材料費のほかに「確認申請」の費用も必要です。
確認申請とは、新築や増築を行う際、その建物が建築基準法に適合しているかを確認・証明する手続きで、建築基準法第6条で義務付けられています。申請を怠ると違法建築とみなされるため、必須のプロセスです。
確認申請の手数料は、建物の床面積や建築する土地の自治体によって異なります。例えば、東京の自治体では、床面積が500㎡超から1000㎡以下の倉庫の場合、以下の費用がかかります。
・確認申請:35,000円
・中間検査申請:34,000円
・完了検査申請:36,000円
民間の確認検査機関で申請する場合、自治体よりも手数料が割高になる傾向にあります。
一方で、すべての建築に確認申請が必要なわけではありません。以下のようなケースでは、確認申請が不要です。
・防火地域・準防火地域以外での床面積10㎡以下の増改築
・貯蔵槽など、建築基準法で「建築物」と見なされない施設の設置
・都市計画区域外での、延べ床面積100㎡以下の特殊建築物(四号建物)の建築
倉庫建設の費用を抑える方法
倉庫を建設する際、規模が大きくなるほど工事費用に加えて、自治体への申請や手数料などの費用も増えていきます。ここでは今回は倉庫建設にかかる費用を少しでも抑えるための方法について解説します。
◇倉庫の構造を再考
物流倉庫の構造は、大きく分けて「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
木造
坪単価の目安:約20万円
木材を主要部材に使用した倉庫です。建築コストが他の構造に比べて安いのが最大のメリットで、比較的小規模な倉庫に適しています。
鉄骨造
坪単価の目安:約43万円
鉄骨を骨組みに使用した倉庫で、軽量ながらも耐久性が高いのが特徴です。木造に比べて部材の品質が安定しており、職人の技術に左右されにくい点がメリットです。また、柱や梁を事前に組み立てて現場に持ち込むことができるため、工期も短縮できます。
鉄筋コンクリート造
坪単価の目安:約45万円
鉄筋とコンクリートを使用した倉庫で、耐震性や耐久性に優れています。鉄筋コンクリートは圧縮強度と引張強度を兼ね備えた構造のため、安定した建物が作れます。また、機密性が高いため、空調設備を活かして温度管理がしやすいのも特徴です。
◇システム工法を検討
倉庫の建設費用を抑えつつ、安全性や性能を確保する方法として「システム建築」があります。
システム建築の特徴は、あらかじめ工場で製作した部材を現場で組み立てる点です。この方法では現場での作業量が大幅に減り、建築期間が短縮されます。その結果、人件費や工事にかかる経費も削減でき、全体的なコストを抑えられます。
さらに、システム建築では標準化された部材を使用しているため、個別の設計や製作にかかるコストを削減でき、標準化により、品質の均一性も保ちやすくなります。
一方で、部材が標準化されている分、設計の自由度はやや低くなりますが、耐久性や耐用年数、汎用性といった重要な性能面では、従来の工法と大きな差はありません。そのため、システム建築は長期的なコストパフォーマンスが優れた選択肢と言えるでしょう。
◇設計施工一括方式の会社を選択
設計施工一括方式とは、設計と施工をひとつの建設業者にまとめて依頼する発注方法です。この方式では、発注者は基本的に建設業者とのみやり取りを行うことになります。
設計と施工を一元化することで、設計段階から施工を見据えた品質管理が可能となり、施工者の得意な技術を活かしやすくなります。さらに、施工業者の固有技術を設計段階から取り入れられるため、品質の向上が期待できます。加えて、早い段階でコスト管理ができるので、予算を設定しやすいというメリットもあります。
注意点として、コスト重視で進めすぎると品質が低下するリスクがあります。また、設計段階での打ち合わせが不十分だと、責任範囲が曖昧になり、着工後に設計変更が生じて追加コストが発生する可能性もあります。そのため、事前の綿密な打ち合わせが重要です。
システム工法を扱う施工会社
システム工法は、工期短縮やコスト削減に効果的で、多くのメリットがある工法です。そのため、倉庫や物流施設の建設で注目されています。ここでは、システム工法を取り扱っている施工会社の中から、特徴的な2社をご紹介します。
◇ファクトリア
ファクトリアは、「工場建設のトータルサービスブランド」をスローガンに掲げ、倉庫や工場などの施設建設を幅広く手がけている企業です。一般的な「作業ができればそれでよい」といった単純な工場ではなく、デザイン・機能・コストの3つのバランスを重視し、企業の生産性を高めるための理想的な環境づくりを目指しています。
ファクトリアの特徴は、設備や動線計画などのハード面の最適化だけに留まらず、働くスタッフのモチベーション向上にも配慮した設計を行っている点です。
例えば、明るく開放的なスペースや、休憩エリアの設置など、スタッフが快適に働ける環境づくりをサポートしています。これにより、作業効率の向上やスタッフの満足度アップが期待できるため、生産性や品質向上に貢献する「一歩先を行く」工場建設を実現しています。
◇横河システム
横河システムは、「低価格・短工期・高品質・大空間」を4つのコンセプトに掲げ、工場や倉庫の建設を行っています。
部材の標準化や独自技術による軽量化を活用し、コストを削減しています。標準化された部材を使用することで、製造・施工の効率が上がり、コストダウンが可能です。また、専用工場に常時2か月分の鉄骨材料を備蓄し、建築工事全般での標準化や省力化を図っており、材料手配の時間や工期を短縮できます。
さらに、横河システムでは、日本で唯一の「システム建築専用工場」を持っており、鉄骨フレームや外装材など、すべての主要部材を自社で生産が可能です。これにより、品質が統一され、信頼性の高い建築物を提供できるのが強みです。
自社生産した強くて軽量なテーパーフレームを使用することで、最大60mのスパン(柱のない空間)を実現。さらに、中間に柱を追加することで最大120mまで広げることができます。
2023年のデータを基に算出した倉庫建設における坪単価は、約53.9万円となっています。近年では、資材価格の高騰や施工コストの上昇により、工事費が増加傾向にあります。建設コストを抑えるための手段として「システム建築」や「設計施工一括方式」が注目されています。
システム建築は、あらかじめ工場で製作した部材を現場で組み立てる方式で、現場での作業時間が短縮されるため、工期を大幅に短縮できます。これにより、人件費や資材費を削減し、全体のコストを抑えることが可能です。
また、部材の標準化により品質の均一性も向上します。「設計施工一括方式」では、設計から施工までを一括して依頼することで、施工段階からの品質管理やコスト管理が容易になります。これにより、建設の効率化やコスト削減が期待でき、発注者の負担も軽減されます。
ファクトリアは、工場建設において「デザイン・機能・コスト」の3要素をバランスよく取り入れることを重視しています。作業効率の向上だけでなく、スタッフのモチベーションを高める環境づくりにも力を入れており、明るく開放的な作業空間や快適な休憩エリアの設置を推進しています。これにより、生産性や作業品質の向上を図り、企業全体のパフォーマンス向上に貢献しています。
一方、横河システムは日本唯一の「システム建築専用工場」を所有しており、鉄骨フレームや外装材などの主要部材を自社で生産しています。これにより、品質の一貫性を確保するとともに、効率的な施工が可能となります。標準化された部材の使用により、コスト削減と品質向上の両立を図り、安定した建築性能を提供しています。