プレハブ建築のメリット・デメリットと工場建設可能なメーカー | 工場建設パーフェクトガイド

プレハブ建築のメリット・デメリットと工場建設可能なメーカー

2023/12/19

プレハブ建築は、工場で部材を製造し、現場で組み立てる手法です。これには建設期間の短縮とコスト削減の利点があります。しかし、デザインの自由度が制限され、同じ形状の建物が多くなりがちで、柱の設置に制約があるため、スペースの無駄が生じやすく、多様なニーズへの対応が難しい場合もあります。

プレハブ建築とは？システム建築との違い

プレハブ建築とシステム建築は、建築プロセスや特徴において異なるアプローチを取る建築方法です。以下では、プレハブ建築の特徴とシステム建築の違いについて説明します。

◇プレハブ建築とは？特徴について

プレハブ建築は、建物に使用するパーツを事前に工場で生産加工した後に、施工現場で組み立てるという建築工法になります。そのため従来のように、現場で柱や梁などを組み立てた後に外壁を張り合わせたり、屋根部材を設置したりといった手間のかかる作業がなくなるため作業する人の数や作業日数を大幅に減らすことができます。

それにともなって低コスト化も実現化します。また建物に使用する部材も一定しているため、大量生産することも可能です。さらに施工現場で組み立て作業を行う際にも手順が同じなので、簡単に施工が可能です。プレハブ建築に使用する鉄骨については、軽量鉄骨を使用するので耐用年数としては20年前後となります。

◇システム建築との違い

システム建築では、コンピューターで設計から見積もり生産までの全工程が自動化しており徹底的な標準化や軽量化も施されています。そうしたことからプレハブ建築と同様に、職人の高度な熟練度は要しません。そして使用する部材についても、デザインの自由度が低いながらも耐震性や耐火性・遮音性に優れた部材を選ぶことで高い性能を発揮することが可能となります。

システム建築で使用する鉄骨については、重量鉄骨が大変を占めるため大規模な倉庫や工場・スポーツ施設などからの依頼が多く寄せられています。使用する鉄骨が重量鉄骨ということもあり、耐用年数は30年前後となります。また使用する部材が標準化されているため、一見プレハブ建築と似ているようにも思われます。ところがプレハブ建築に比べると、設計の自由度が高く極端な話、わずか1mm単位までも柔軟な設計が可能になっています。

その他にもシステム建築を大々的に採用している横河システム建築という企業では、超高層ビルや橋梁などに利用される高張力材を採用することで、60m幅間隔で柱を必要としない施工を実現しています。その点は、6m間隔で柱が必然的に設置されてしまうプレハブ建築とは大幅に異なります。そうした点も大規模な倉庫や工場で採用される大きな理由の一つといえます。

プレハブ工法のメリット・デメリット

プレハブ工法は、他の工法と比べて低価格であることや、建築が容易である等のメリットがある一方、デメリットも存在します。ここでプレハブ工法のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

◇プレハブ工法のメリット

プレハブ工法では、事前に工場内で生産された部材を施工現場で組み立てるという作業になるため、従来の建築工法に比べるとはるかに短い期間に建物を完成させることができます。さらには施工手順がある程度単一的になるため、従来のように熟練度の高い職人も必要としません。あるいは、経験の浅い人や少ない人数での施工も可能となります。そうしたことによるコスト削減も大きなメリットといえます。

◇プレハブ工法のデメリット

規格化されたパーツを組み立てるというプレハブ工法は、視点を変えれば同じ形状の建物しか建てられないといったデメリットでもあります。また、自由なデザインが難しいプレハブ工法には、どうしても無駄なスペースが発生しやすくなる他、多様なニーズに応えるのは難しくなります。

またプレハブ工法では、建物内に6m間隔で柱を設置しないといけないといった制約もあります。こうした柱というのは、建物を支えるためには必要ですが作業をする人にとっては余計な障害物でしかありません。例えばフォークリフトが行きかうような倉庫では、6m間隔で設置された柱は障害となります。

その上、そうした空間が生じると温度や湿度の管理が必要な倉庫などでは、空調設備の稼働率に無駄が発生します。余分な電気代も生じる恐れがあります。こうした無駄は、長期間に渡って運用するような倉庫や工場では、無駄なコストが蓄積してしまうことにもなりかねません。

画像出典先：日成ビルド工業株式会社

プレハブ建築による工場建設が可能なメーカー

プレハブ建築による工場建設を検討する際、信頼性の高いメーカーを選ぶことが重要です。幾つかの優れたメーカーがこの分野で注目されており、それぞれの特徴や提供するサービスについて説明します。

◇日本ビルド工業株式会社

日本ビルド工業株式会社は、プレハブ建築を大々的に採用している企業になります。プレハブ建築のスピーディーで経済的な建築工法をモットーとしながらも、堅牢な建物といったプラスアルファーも加えています。具体的な建築工法としては、プレハブ建築を基本としたコンファームとオーダーフラットが、現在のところ日本ビルド工業の柱となる建築商品です。

例えばコンファームは、堅牢性や安全性・居住性といった在来工法の特徴を生かしながらも、プレハブ建築によって生み出される低コストや短納期・経済性が魅力となっています。一方オーダーフラットは、軽量形鋼構造を基本としながらも物件やニーズによってフレキシブな対応が可能な建築工法となっています。

◇テクノハウス

テクノハウスは、プレハブ建築の最大のメリットでもある設計や生産・施工といった工程を自社で一括管理しています。そうすることで、お客さんからの要望やニーズに沿った建築仕様や品質管理の徹底化も行っています。テクノハウスの代表的な建築工法の商品としては、エイトやミリオン・グランドエース・ファイブエース・スタンダードなどがあります。

たとえばエイトでは、フリー設計でお客さんのニーズに対応するという点が魅力の建築工法です。一方ミリオンは、外観や機能・構造などの面で卓越した高級なプレハブを提供するというのが魅力です。こうした各種魅力的な建築工法により、倉庫や工場建設・アパート建設など多彩な物件を手掛けています。

◇大和リース

大和リースは、プレハブ建築という一つの建築工法にこだわることなく、近年需要度が増しているシステム建築も手掛けている多彩な建築工法を取り入れている企業になります。さらにこうした建築工法だけでなく、遠隔地から現場の状況をリアルタイムに把握することができるスマートグラスやドローン・自走ロボットなど超最新産業ロボットの開発や導入にも力を入れています。

プレハブ建築とシステム建築は、異なる建築アプローチです。プレハブ建築は、工場で部材を加工し、現場で組み立てる方法で、低コストと短納期が魅力です。システム建築は、コンピューターで自動化され、高い性能を持つ部材を使用し、柔軟な設計が可能です。

メーカーとして、日本ビルド工業、テクノハウス、大和リースが優れた選択肢です。プレハブ工法は、短期間で建物を完成させるメリットがありますが、同じ形状の建物しかできず、制約があります。しかし、コスト削減や熟練度不要が魅力です。

システム建築は柔軟な設計と高性能がありますが、デザイン制約があります。各メーカーは異なる特徴を持っており、プレハブ建築のニーズに応じた選択が可能です。